第39話 外交への同行と国王命令
文字数 1,322文字
「はい。確かに書類を受け取りました」
オービニエ外務大臣の執務室で、私は、受け取った書類を簡単に確認し、退出しようとして大臣から呼び止められた。
「セシリア様。少しお待ちください」
「まだ何か?」
「陛下より、次の外交からセシリア様をお連れするように命じられました。昨日 ようやく書類が整いまして、日程を表にしてまとめてあります。後ででもご確認いただき、もし都合が付かない日程がございましたら、早めにご連絡頂けると助かります」
をう言いながら、私に日程表と袋に入った資料を渡してくれる。
はい? 私、何も聞いていないのですが……。
「ありがとう。ご苦労様」
私は、表面は普通に、一応ねぎらいの言葉をかけてから退出した。
オービニエ外務大臣は臣下の礼を執り、私を見送っているけど……。
取り敢えず私は、フレデリックに渡す書類と、日程表と資料を持って執務室に戻った。
「ああ。大臣の方から先に聞いたか」
フレデリックは何事も無いように言い、大臣からもらってきた日程表に目を通していた。
そして、私にその日程表を渡してくる。
「セシリアは、外国と言葉が出来るのであったな。その日程表に書いてある国の中で、出来ない国の言葉はあるか?」
外交レベルでっ……て事よね。アルンティル王国ほどで無いけど、それなりに重要国ばかり並んでるなぁ。でも、これなら……。
「いえ、どの国の言葉も外交に困らない程度には、できますわ」
「そうか。それでは、そのようにしてもらえるだろうか」
また、お願いなのね。
「陛下。お願いではなく、命令してください。オービニエ外務大臣にしたように」
私がそういうと、フレデリックは少し怖い国王陛下の顔になって
「それでは命令だ。オービニエ外務大臣に同行し、外務大臣を出し抜いて来い」
と命令を下した。
私はと言うと、臣下の礼を執るのも忘れて、呆然となる。
『外務大臣を出し抜いて来い』と聞こえた。外交初心者の私に百戦錬磨の外務大臣を出し抜けと……。
私が無反応でいると、フレデリックがオロオロしだした。
「……セシリア。そなたが命令しろと言ったからしたのに。返事の仕方が分からなかったのか?」
フレデリックが私の方にやって来て頭を撫でてくれる。
「それとも、俺が怖かったのだろうか」
この前の一件から、フレデリックが過保護になってしまった。というか、孫を心配するおじいちゃんの様になっているのですが……。
ここに来る前に大泣きしたなんて言うのでは無かったかしら。
「出し抜いて来いと、聞こえたのですが」
「あ? ああ。そう言ったからな。外務大臣は外国語が出来ない。そこを突いて徐々にでいいから、外交ルートを奪ってきてもらえないか?」
あ~、やっぱり聞き間違えじゃ無かったのね。
「分かりました。一応資料は貰いましたが、足りない分は閲覧できるようにして頂けますか?」
「ああ。もちろんだとも。だが、最初の国の外交までには3日ほどしか無いぞ」
「3日もあれば、充分です。それと、当日の服装なのですが……」
この国に来てドレスのおねだりをしたのは、初めてかもしれない。
オービニエ外務大臣の執務室で、私は、受け取った書類を簡単に確認し、退出しようとして大臣から呼び止められた。
「セシリア様。少しお待ちください」
「まだ何か?」
「陛下より、次の外交からセシリア様をお連れするように命じられました。
をう言いながら、私に日程表と袋に入った資料を渡してくれる。
はい? 私、何も聞いていないのですが……。
「ありがとう。ご苦労様」
私は、表面は普通に、一応ねぎらいの言葉をかけてから退出した。
オービニエ外務大臣は臣下の礼を執り、私を見送っているけど……。
取り敢えず私は、フレデリックに渡す書類と、日程表と資料を持って執務室に戻った。
「ああ。大臣の方から先に聞いたか」
フレデリックは何事も無いように言い、大臣からもらってきた日程表に目を通していた。
そして、私にその日程表を渡してくる。
「セシリアは、外国と言葉が出来るのであったな。その日程表に書いてある国の中で、出来ない国の言葉はあるか?」
外交レベルでっ……て事よね。アルンティル王国ほどで無いけど、それなりに重要国ばかり並んでるなぁ。でも、これなら……。
「いえ、どの国の言葉も外交に困らない程度には、できますわ」
「そうか。それでは、そのようにしてもらえるだろうか」
また、お願いなのね。
「陛下。お願いではなく、命令してください。オービニエ外務大臣にしたように」
私がそういうと、フレデリックは少し怖い国王陛下の顔になって
「それでは命令だ。オービニエ外務大臣に同行し、外務大臣を出し抜いて来い」
と命令を下した。
私はと言うと、臣下の礼を執るのも忘れて、呆然となる。
『外務大臣を出し抜いて来い』と聞こえた。外交初心者の私に百戦錬磨の外務大臣を出し抜けと……。
私が無反応でいると、フレデリックがオロオロしだした。
「……セシリア。そなたが命令しろと言ったからしたのに。返事の仕方が分からなかったのか?」
フレデリックが私の方にやって来て頭を撫でてくれる。
「それとも、俺が怖かったのだろうか」
この前の一件から、フレデリックが過保護になってしまった。というか、孫を心配するおじいちゃんの様になっているのですが……。
ここに来る前に大泣きしたなんて言うのでは無かったかしら。
「出し抜いて来いと、聞こえたのですが」
「あ? ああ。そう言ったからな。外務大臣は外国語が出来ない。そこを突いて徐々にでいいから、外交ルートを奪ってきてもらえないか?」
あ~、やっぱり聞き間違えじゃ無かったのね。
「分かりました。一応資料は貰いましたが、足りない分は閲覧できるようにして頂けますか?」
「ああ。もちろんだとも。だが、最初の国の外交までには3日ほどしか無いぞ」
「3日もあれば、充分です。それと、当日の服装なのですが……」
この国に来てドレスのおねだりをしたのは、初めてかもしれない。