第12話
文字数 913文字
わちゃわちゃとクラスメートと変わらず過ごしているうちに時はあっという間に流れて……
石井大樹くんが一年生で入学してきた。サチは中学一年生。
大樹くんは、四人の新入生の中で一番小さかった。色の白い目のパッチリとした、とてもかわいい男の子になっていた。
サチは新入生の四人のことを担任の先生のように、率先して面倒をみた。
学校は小中学校が合同だったので、上級生が下級生の面倒をみるのが当たり前だったし、サチは勉強や行事でも係の仕事を進んで引き受けた。担任の大原純子先生もサチのことを頼ってくれて、とてもいい関係性を築いていた。
石井村長は、毎日、大樹くんを車で送ってきていた。山間部の学校だけに、徒歩でくる生徒、自転車でくる生徒、バスを利用してくる生徒、車でくる生徒と、登校はそれぞれの家庭の都合により自由になっている。
学校生活に慣れた頃、サチは大原先生に呼ばれた。
「石井村長がご病気で入院されたそうなの。奥様も街の病院へ付き添わなければいけないみたいなの。二週間だけでいいから、大樹くんと一緒に登校してもらえないかな。大樹くん、サチさんにとても懐いているみたいだから」
「村長さんちまで自転車で五分くらいだし、うちが一番近いですよね。問題ないですよ。任せてください」
「奥様は、夕方には戻られるそう。登下校だけ、一人では心配だからお願いできればと」
「わかりました」
「来週からお願いできる?」
「はい」
「良かった……奥様には伝えておきます。お家の方に奥様からお電話がいくと思うわ。よろしくお願いしますね」
「はい」
その日の夜、村長の奥様から自宅に電話があった。じいちゃんとばあちゃんは、心配して車で送ってくれると言ったが、天気のいい日は、二人で自転車で行くと断った。
実は、大樹くんから、入学祝いに買ってもらった自転車に、やっと乗れるようになったのに、遠出をしたことがなくて、つまらないーー今度どこか一緒に連れてってほしいとせがまれていた。学校までだったら、比較的平らな道だし、一緒にゆっくり走れば、大樹くんも喜んでくれだろうと思ったのだ。
朝の退屈な時間が来週からは楽しみな時間になる。
(早く月曜日になーれ)
サチは一人微笑んだ。
石井大樹くんが一年生で入学してきた。サチは中学一年生。
大樹くんは、四人の新入生の中で一番小さかった。色の白い目のパッチリとした、とてもかわいい男の子になっていた。
サチは新入生の四人のことを担任の先生のように、率先して面倒をみた。
学校は小中学校が合同だったので、上級生が下級生の面倒をみるのが当たり前だったし、サチは勉強や行事でも係の仕事を進んで引き受けた。担任の大原純子先生もサチのことを頼ってくれて、とてもいい関係性を築いていた。
石井村長は、毎日、大樹くんを車で送ってきていた。山間部の学校だけに、徒歩でくる生徒、自転車でくる生徒、バスを利用してくる生徒、車でくる生徒と、登校はそれぞれの家庭の都合により自由になっている。
学校生活に慣れた頃、サチは大原先生に呼ばれた。
「石井村長がご病気で入院されたそうなの。奥様も街の病院へ付き添わなければいけないみたいなの。二週間だけでいいから、大樹くんと一緒に登校してもらえないかな。大樹くん、サチさんにとても懐いているみたいだから」
「村長さんちまで自転車で五分くらいだし、うちが一番近いですよね。問題ないですよ。任せてください」
「奥様は、夕方には戻られるそう。登下校だけ、一人では心配だからお願いできればと」
「わかりました」
「来週からお願いできる?」
「はい」
「良かった……奥様には伝えておきます。お家の方に奥様からお電話がいくと思うわ。よろしくお願いしますね」
「はい」
その日の夜、村長の奥様から自宅に電話があった。じいちゃんとばあちゃんは、心配して車で送ってくれると言ったが、天気のいい日は、二人で自転車で行くと断った。
実は、大樹くんから、入学祝いに買ってもらった自転車に、やっと乗れるようになったのに、遠出をしたことがなくて、つまらないーー今度どこか一緒に連れてってほしいとせがまれていた。学校までだったら、比較的平らな道だし、一緒にゆっくり走れば、大樹くんも喜んでくれだろうと思ったのだ。
朝の退屈な時間が来週からは楽しみな時間になる。
(早く月曜日になーれ)
サチは一人微笑んだ。