第11話

文字数 682文字

 それから何度か暑い夏と厳しい冬を経験しサチは小学五年生となりちょっぴり体型も女性らしく成長していた。
 夏休みや冬休みには、東京から両親がやってきて車であちこち遊びに連れて行ってくれた。水族館に行ったり街で映画を観たり、洋服を買いにショッピングへも連れて行ってくれた。普段、離れて暮らしているが、ほぼ毎日、携帯で顔を見ながら話をしていたのでまったく違和感はなかった。
 大雪の冬も家の中はポカポカだった。両親が東京へ戻る日はやっぱりちょっと寂しさを感じた。でもサチには、ここでの生活で、まだまだやり残していることがたくさんある気がした。

 同級生のタカシは、上級生の男子と漫才コンビを組んで、有名になるぞーと言い始めた。先行きが気になる。
 ケンジは陸上で全国的大会へ出場が決まった。こちらも全力で応援しなければならない。
 ユミは河原で空を見上げ、何を言い出すかと思えば、将来は空を飛びたいと飛行機を指さす始末。
 マリコはチビが最近、マリコにも懐いていることで獣医になると言い出している。

 みんなそれぞれ個性があって、将来、ずっと一緒にいたい大切な友達だ。

 去年の夏休みはクラスのみんなで夏祭りに出かけた。女子は三人で男子は二人。カップルになるには中途半端な人数だ。そもそも同級生だし、付き合うなんてありえないーーと思っていたら、いつの間にかタカシとユミが付き合っていると告白された。
 サチはスポーツマンのケンジのことが、ちょっぴり気になっていた。だから、いつの間にかカップルになっていたことに驚いたが、ケンジに対しては、まだ、チャンスが残っているーーと少しホッとした。
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