第33話 迷探偵の秘密
文字数 1,009文字
…えー、皆さん、長期休みだからといって、くれぐれも羽を伸ばしすぎないように…
…ふっ。2学期も終わりか。
(…。)
放課後
やっと校長の長話から解放された…ほら、行くぞ。ワトソン君。
…うん。
(…少しだけ、知ってみたくなった。)
(家並さんは、どうして探偵になろうと思ったのか…)
家並家
あら、ワトソン君いらっしゃい。
…家並さんはいないんですね。
ああ、ちょっと用事があるみたいで…今、家にいないの…。
…あの、少しお話よろしいですか？
なあに？
…知りたいんです。家並さんが、どうして探偵になろうと思ったのか…
…その話ね、ごめんなさい。私の口からはちょっと…
…そういえば、旦那さんは？どちらにいらっしゃるんです？
…ああ、主人は、今知り合いのお宅にお邪魔させてもらってるそうよ。…先週、海外旅行から帰ってきたばっかりなのに。
…ごめんなさいね、あまり家に帰らない人だから…
…あの、一つお願いがあるんですけど…
(…K県X市…近い、とは言えない距離だったな。)
(…こんな辺鄙なところに住んでたのか。)
(…ちょうど冬休み中でよかった…)
(…でも、家並さんのお父さんってどんな人なんだろう…。)
ここか…
田舎の風景の中で、一軒だけ目立つ建物があった。
周りの景色とはかけ離れた、エキゾチックな雰囲気が漂う建物だった。
すると、一人の男が家の中から出てくる。
…。
ひっ…！？
男は、わかりにくいアジア系の言語でまくし立てる。
(…な、何言ってるか全然わかんないし、…なんか輩っぽい人だし…まさかとは思うけど、この人が家並さんのお父さんじゃないよね…？)
あ、あの…落ち着いてください。僕は、あなたと話をしに来たんです。
…オマエ、ダレダ？
(…通じた！)
あの、僕は家並さんの友達です。それで、あなたと話を…
オマエ、シラン！！ササト、ウセロ！！
いや、ですから、僕は家並 紗音さんのクラスメイトです！
話を聞いてください！
…何やってんだバカ、後ろだよ。
ペシッ
後ろから頭を叩かれる。
…え？
後ろを振り向くと、背の高い壮年男性が立っていた。
…お前が今話してたのは、この家の家主の息子さんだよ。俺ァ、ここに居候させて貰ってんだ。
じゃあ、あなたが家並さんの…
…ああ。俺は家並 最雅(やなみ さいが)。紗音の父親だ。
…ったく、初っ端から間違えやがって…次くだらねぇ間違いしやがったら、拳を顔面に衝突させんぞ。
(…えっと、難しい言い方してるけど要は、ブン殴るぞって言いたいんだよね、多分。)
