第45話 森谷 帝は賭ける

文字数 1,022文字

…森谷さん、全部、嘘だったんですか?

半年間、みんなで色々楽しい事も、つらい事も経験したじゃないですか。

…それは全部、嘘だったんですか!?

うん。ぜーんぶ嘘だよ?

どう?楽しんでくれた?俺の名演技。

…オスカー賞狙えたりして?あはは!

どんな事件も、一緒に解決してくれたじゃないですか!
うん。楽しかったよ?

中坊共が無い頭捻って、くっさいくっさい茶番劇を完成させる様を見届けるのは。

…まあ、物語の展開を面白くするためにロリコン属性っていうスパイスを足したのは、ちょっとやりすぎだったかな〜。
…まさか、家並さんを好きなフリをしたのも…
うん♪

お姫様をキスで目覚めさせて、そのあと臭いラブストーリーを繰り広げていく王子様の役って、一度でいいからやってみたかったんだよね♬

もちろん、そこに真実の愛なんてないけどね!
てんめぇえ!!そんなくだらない事のために、俺の娘を弄びやがって!!

ブッ殺してやる!!

まあまあお父様、一旦落ち着きましょうよ。

まあ、俺のジョークに躍らされて俺に惹かれていくお嬢様は、ちゃんと可愛かったですよ?

…てめぇ!!
…森谷さん、これが最後の質問です。

なんで、こんな事したんですか?

なんで…?

…あはは、考えた事もなかったなぁ。

…強いて言うなら、楽しいから、かな?
…は?
俺が生まれて初めて殺したのは、元恋人だったよ。

あいつは、俺を拒絶したんだ。

…だから、大事な物全部奪ってから、殺したよ。

…その時だけは、体が軽かった。ムカつく事全部忘れられた。力が湧いてくるような感じがした。なんでもできる気がした。…生きてるって実感できた!
それからは、俺はどんどん人を殺すのが大好きになっていった。命を乞う叫び、開ききった瞳孔、失われていく体温、心音、脈拍…肉を刻む感触、飛び散る血潮の赤…それら全てが、俺を高揚させる材料なんだ!!
森谷は、顔を紅潮させて得意げに話す。

その目は、完全に正常な人間のものではなかった。

頭おかしいだろお前…!!
かもね〜。
…森谷さん。あなたはもうここで終わりです。観念してください。
俺が…終わり?

ふっ、ははっ…ははは!

…俺がこういう時のために何もしてないとでも思った?

言ったでしょ?紗音ちゃんの暗殺に失敗した時の保険は用意してあるって。

…え?
確かに、君たちは俺の用意した第1ゲームに勝った。

でもね、俺が本当に賭けたのは、ここからだから!!

森谷は持ってきたトランクケースを開け、中に入っているタイマーを作動させる。
…さあ、ゲームスタートだ!!
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登場人物紹介

和戸 尊(わと たける)

14歳。中学3年生。

通称ワトソン君。

転校生の紗音に振り回される苦労人。

家並 紗音(やなみ しゃのん)

14歳。中学3年生。

御簾照中に転入してきた迷探偵。

厨二病を拗らせており、自身をシャーロック・ホームズの生まれ変わりだと信じ込んでいる。


天明 一才(てんめい かずさ)

14歳。中学3年生。

イケメンで文武両道の生徒会長。

とある事件に巻き込まれてしまい…?

樋貝 芽亜里(ひがい めあり)

14歳。中学3年生。

紗音たちのクラスメイトの女の子。

双子の兄がとある事件に巻き込まれてしまい…?

林野 幸(りんの みゆき)

23歳。自称王子様。

謎多き青年。

とある事件で、紗音たちと出会う。


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