第4話 事件解決

文字数 1,383文字

…全て分かったぞ。

犯人の正体、そしてどうやってあの密室を破ったのかもな!

本当ですか!?
まず、あの部屋はドアから出ることは不可能だった。

内側から鍵がかかっていたんだからな。

じゃあ、どうやって…
…簡単な事だ。犯人は、窓から脱出したんだ。
いや、家並さん。それはあり得ないよ。
だって、あの部屋の窓には鍵がかかってたんだよ?
いや、犯人は、簡単に侵入できた。
なぜなら、あの窓には最初から鍵がかかっていなかったのだからな。
…え!?
では、順を追って話そうか。
まず犯人は、被害者を空き部屋に呼んで、そこで被害者の後頭部をガツン!

…と殴った。

被害者を気絶させた後、犯人は、窓から脱出。
ところで、一ノ瀬君。窓の鍵がかかっていることは、どうやって確認した?
え?っと…普通に、引いて開けようと…
…そう、一ノ瀬君は、窓を触って確かめたんだ。窓に取り付けられた鍵を見て確かめたわけじゃない。…なぜならこのガラスは、外から中は見えないようになっていたんだからな。
犯人は、それを利用したんだ。

…一ノ瀬君、窓を触ったとき、おかしなことはなかったかな?

えっと…そういえば、やけに冷たかったような…
…そう。おそらく犯人は、窓の枠を霧吹きか何かで湿らせてから、水分を凍らせて、窓を開かなくさせたんだ。
事件当時は、16時頃…今は、4月上旬…あの日は比較的気温が低かったから、凍結スプレーなんかを使ったのなら、しばらくは窓を封じられるだろうな。
…それに、時間が経てば氷が融けて窓を封じた形跡はなくなる。

お陰で、私たちはまんまと嵌められたってわけだ。

…その証拠に、化学室から凍結スプレーが一本盗まれていたという証言を得た。…ワトソン君。
…確かに、スプレー缶が一本なくなっていたそうです。

(在庫リストを見せる。

…ところで、話は変わるが一ノ瀬君。

君はどうして、窓に鍵がかかっていることを確かめようとしたのかな?

…急いで確認するように言われたからだよ。
誰にだ?
…えっと、優城君に…だよ。
はっ…!?
…そう、犯人は優城 秀明!!貴様だ!!(ズビシッ
ーッ!!
君は、恐らく窓を凍結スプレーで封じた後、何か理由をつけて、すぐに窓の鍵を確認するように一ノ瀬君に頼んだんだ。…違うか?
えっ?…ああ、確か…

「空き部屋の窓の鍵が閉まってないかもしれない。僕は急用があるから、今すぐ確認してきてくれ。」

って言われたから、ダッシュで確認しに行ったよ。…ほら、開いてたら泥棒とかに入られちゃうし。


…急いで確認するように言わないと、気温でスプレーの効果が薄れるからな。
…何だよ、確かに早く閉めるようには言ったよ!でも、それは泥棒に入られないように…
しかし、君はさっきおかしな発言をしていたな?
…え?
私は、君たち容疑者には、被害者が後頭部を負傷した事と、被害者が何者かに襲われた事しか伝えていない。
その情報だけなら、被害者が犯人に転倒させられ、後頭部を強打した可能性だって考えられる。
なのになぜ、君は犯人が被害者を殴った事とわかったんだ?
…っ!!
優城君、どうして…!
…あいつは、あいつは…!

僕が大好きなアニメをバカにしやがったんだ…!

だから、殺そうとした…!

は…!?何だよその理由!!
…ふっ。貴様の言い分はよくわかった。

だが、貴様のやったことは、許される事ではない。

覚悟しておけよ。

(えっ!?今の動機で納得できたの!?)
ッー。
(えー…何この展開。)
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登場人物紹介

和戸 尊(わと たける)

14歳。中学3年生。

通称ワトソン君。

転校生の紗音に振り回される苦労人。

家並 紗音(やなみ しゃのん)

14歳。中学3年生。

御簾照中に転入してきた迷探偵。

厨二病を拗らせており、自身をシャーロック・ホームズの生まれ変わりだと信じ込んでいる。


天明 一才(てんめい かずさ)

14歳。中学3年生。

イケメンで文武両道の生徒会長。

とある事件に巻き込まれてしまい…?

樋貝 芽亜里(ひがい めあり)

14歳。中学3年生。

紗音たちのクラスメイトの女の子。

双子の兄がとある事件に巻き込まれてしまい…?

林野 幸(りんの みゆき)

23歳。自称王子様。

謎多き青年。

とある事件で、紗音たちと出会う。


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