第1話 迷探偵降臨！
文字数 1,301文字
…僕の名前は、和戸 尊(わと たける)。14歳。A市にある御簾照(みすてり)中学校に通う、ごく普通の中学生だ。
…そんな僕の平穏は、ずっと続くはずだった。
…あの日さえなければ。
数日前
ざわざわ…
今日は転校生を紹介します。
…入ってきて。
…。
(あっ、かわいい娘だ…)
…家並 紗音(やなみ しゃのん)さんです。皆さん、仲良くしてくださいね。
…えーと、席は…
和戸君の隣に座りなさい。
…や、家並さん。僕は和戸 尊。よろしくね。
…。(じー…
(えっ…なんかすっごい見てくるんだけど…？)
…ふっ。
(は…鼻で笑った…なんなんだこの娘…)
放課後
…ワトソン君。ちょっとついてきなさい。
(あぁ…さっき名前言ったのに、早速間違えられてる…)
ソンじゃなくてタケルだよ…
どっちでもいい。早く来なさい。
う、うん。
屋上
…家並さん、どうしたの？
こんなところに連れて来て…
ふっ…
どうやら、私たちは今世でも再会する運命だったようだな…。
…君を一目見た時、気づいたんだ。
君は私の運命の人だとな。
…付き合ってくれないか？
(えっ…
ええええええええええええええええええええええええええええ！！？)
(まだ転校初日だよね！？何このラブコメ的展開！！)
(…でも、家並さんめちゃくちゃ可愛い…
ちょっと変わった子だけど…)
(いいのかな…？こんな可愛い娘と…お付き合いしちゃって…)
ぼ、僕で良ければ…
ふっ…どうやら、愚問だったようだな。
この続きは、後で話そう。
ついて来なさい。
行くってどこに？
我が家だ。君の返事が聞けた事だしな。
今は家に誰もいないし…ちょうどいいな。
(早くない！？…ねえ、早すぎない！？
そういうのって、普通先にやる事色々あるんじゃない！？)
(…って、いけないいけない。何やましい事考えてるんだ僕は…)
…着いたぞ。
(広っ！！)
…ねえ、いいの？お邪魔しちゃって…
何を言っている？
これから行動を共にする者に、なぜ遠慮する必要がある？
私の部屋はここだ。
私は支度を済ませてくるから、ゆっくりくつろいでくれ。
(ゑ！！？)
部屋
こ、これが女の子の部屋…
…これって、そういう事だよね！？
…待って待って待って！！早い早い！！
その前に絶対色々やることあるって！！
デートとか！キ、キキ…キスとか！
ガチャ
待たせたな。
や、家並さん！(ドキッ
バサッ
家並さんはいきなり紙の束を低いテーブルに置く。
…私が過去に解決した事件の資料だ。
…読め。
…へ？
ん？なんだその顔は。読めと言っている。
い、いや…そもそも、事件の資料って何…？
何…？
貴様、一体何しにここに来たんだ。
君が、私の仕事に付き合ってくれるというからわざわざ家まで連れてきたんじゃないか。
仕事…？
…おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。
私は、家並紗音として生を受けた。しかし、それは仮の姿！私は、シャーロック・ホームズの生まれ変わりであり、今世紀で最も凄腕の名探偵だ！
…そして、君を一目見てわかった。君は、前世での私の助手…ジョン・H・ワトソンの生まれ変わりだとな！
そういう訳だ、ワトソン君！
これからは私の助手として、私のために働いてくれたまえよ！
(…ああ、僕はどうやら、とんでもなく厄介な子に目をつけられてしまったようだ…)
