第37話 探偵助手は迷探偵を知った

文字数 1,067文字

タケルー、おめェ、今日ハここニ泊まてくといいネ。
…いえ、でも、迷惑じゃないですか?
何言てんダ!遠慮するでねエ!今日は、おめェもうちの子ヨ?
…そういうわけだ。今日は、ここでゆっくりしていけ。
…ええ、では、お言葉に甘えて…
(その日は、僕はジエウさんの家に泊まった。…少しだけだけど、家並さんの事を知れてよかった。)



翌日
…ただいま。
タケル!…あんたね、年末年始のこの忙しい時期に泊まりで旅行行くことないじゃないのよ!
んも〜、最初は日帰りだって聞いてたのに!
…ごめん。
いいから買い出し行ってきて!お母さん今手が離せないから!
…わかった。行ってきます。

スーパー


…あ。
…あ。
あらあら〜。ワトソン君、こんにちは〜。
…ふっ、奇遇だな。こんなところで会うとは…
…ところでワトソン君、君、私が留守の間に家に来たんだって?
…ああ、うん。まあね。
…ねえ、家並さん。…僕、家並さんのお父さんに会ってきたよ。
…君、わざわざあいつに会いに行ったのか?

ふっ、物好きな奴め。

…家並さんの事、すごく心配してたよ。あんまり無茶はしないであげてね。
ふっ、あいつが私を心配していただと…?…あり得んな。仕事の事しか考えずに家を出て行ったワーカホリック男が、私の事を心配するわけがないだろう。
…だが、ワトソン君が私の事を心配してくれているとはな。意外だったよ、ありがとう。
…一言二言余計だよ。
ふっ。では、私は探し物があるのでな。
家並さんは、店の奥の陳列棚へと向かった。
あんまり買いすぎちゃだめよ〜。
…あの、菫さん。
あらあら〜、やっと名前で呼んでくれたのね、ワトソン君。嬉しいわぁ。

…何かしら〜?

…唐突な質問ですみません。

…菫さんは、最雅さんの事、恨んでいますか?

…主人から全部聞いたのね。

…あの人の事が許せない時期もあったけどね。

…でも私は、あの人の事、愛してるから。

恨んでるわけないじゃない。

…そうですか。ありがとうございます。
…ねえ。さっき、主人が紗音の事、心配してたって言ってたわよね。本当なの?
…ええ。
…ふふふ、あの人らしいわね。
…ねえ、ワトソン君。紗音はね、つらい事があった子なの。…私はね、あの子にはその分幸せになって欲しいと思ってる。それはきっと、あの人も同じよ。
…だからね、ワトソン君。どうか、これからもあの子と仲良くしてあげてね。
…はい。もちろんです。


和戸家

遅い!

買い物行くだけなのに、なんでこんなに時間かかったの!?

どっかで道草食ってたんじゃないでしょうね!?

…ごめん。ちょっと、友達と話してた。



(色々あったけど、無事新年を迎えた。そして、3学期が始まる…)
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登場人物紹介

和戸 尊(わと たける)

14歳。中学3年生。

通称ワトソン君。

転校生の紗音に振り回される苦労人。

家並 紗音(やなみ しゃのん)

14歳。中学3年生。

御簾照中に転入してきた迷探偵。

厨二病を拗らせており、自身をシャーロック・ホームズの生まれ変わりだと信じ込んでいる。


天明 一才(てんめい かずさ)

14歳。中学3年生。

イケメンで文武両道の生徒会長。

とある事件に巻き込まれてしまい…?

樋貝 芽亜里(ひがい めあり)

14歳。中学3年生。

紗音たちのクラスメイトの女の子。

双子の兄がとある事件に巻き込まれてしまい…?

林野 幸(りんの みゆき)

23歳。自称王子様。

謎多き青年。

とある事件で、紗音たちと出会う。


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