第16話 楽しかった修学旅行
文字数 1,101文字
(結局、あの後犯人は林野さんの通報により、警察のお世話になった。)
(林野さんはというと、人命を救助した事に加え、凶悪犯罪者の逮捕に貢献した功績が認められ、警察庁に表彰されたそうだ。)
(でも林野さんは、謝礼は要らないと言って、表彰式を欠席したらしい。)
(一方、犯人の動機は、未だ明らかになっていない。誰かに命令された、という情報しか掴めなかったそうだ。)
(色々ドタバタしてあまり楽しめなかった修学旅行も終わりを迎え、夏休みはあと数日となった。)
8月某日
…すごい、天明君もうそんなに景品ゲットしたの！？
…別に。
大した事じゃない。
ふっ、君たち、私もいることを忘れるな！
家並さんは、金魚すくいの屋台へと走っていった。
ふっ、見るがいい！
私の華麗なる手捌きを！！
…あはは。
数時間後
…ふっ、どれもイージーすぎてつまらなかったな。
家並さんは、両手に景品を抱えて河辺にやってきた。
(意外と器用…)
…どうした、ワトソン君？
腹でも痛いのか？
…いや、あの時、どうして家並さんが狙われたんだろうって…
…ふっ、知らんな。
…だが、君には感謝しているんだ。
…え？僕？
…あのいけ好かないロリコンから聞いた。
…君が、私を一番最初に見つけてくれたのだろう？
君が、海に浮かんでいた私に気づかなければ、私は今、君と一緒にこの夜空を見ている事はなかっただろうな。
…ありがとう、君のおかげで生きられた。
…そんな、僕は、何もできなくて…
全部、林野さんが…
だから、お礼なら、林野さんに…
あいつへの恩は、無断で私の胸に触り、ファーストキスを奪った件で全部帳消しだ。
…いや、むしろマイナスの方が大きいくらいだ。
…私の純潔を返せ！！
…どんだけショックだったの…
人命救助なんだから、ノーカンでしょ…
君に私の何がわかる！！
(急にキレた！？)
…だが、この景色を見られた事は、感謝しなくてはな。
株をー100からー98に上げてやろう。
(林野さんの株低っ！！…しかも、株の上昇少なっ！！)
ドーン…
…あ、花火…
…ふっ。
ー95。
少なすぎない！？
もう少し上げてあげようよ！！
(もう、夏も終わりか…)
2学期
〜であるからして…
(また出たよ…校長の長話…)
(もう、2学期か…早いな。)
…えー、皆さんに、重大なお知らせがあります。
…2学期から卒業までの間、3年A組の副担任を務めることになった先生を紹介します。
…さ、先生。どうぞ壇上へ。
…どうも〜。
(げっ！！？)
(り、林野さん！！？)
…えとー…今日から、3年A組の副担任を務めさせて頂く事になりました、林野 幸です。
教師としては日が浅いので至らない点も多いかと思いますが、どうぞ皆さん、よろしくお願いします。
(嘘でしょ〜〜〜〜！！？)
