第8話 御簾照中の七不思議

文字数 1,154文字

七不思議?
…うん。この学校には、七不思議があるんだよね。
①図書室の増える本

12巻までしかないはずの本が一冊増えている

②生物室の目玉の霊

生物室の人体模型から視線を感じる生徒がいるという

③音楽室の笑う肖像画

仏頂面のはずの肖像画が笑っている

④舞台裏から滴る血

舞台裏から血が滴っている

⑤体育館倉庫の獣の霊

体育館倉庫から鳴き声が聞こえる

⑥移動する食堂

東にある食堂が、西に移動する

⑦増える学生

この七不思議に関わった生徒の中で、必ず誰か一人は増えている

…ほう。興味深いな。

今度、調査をしてみよう。

P.M. 20:00
…さて、調査を進めていこう。
…フン、こんな子供じみた話、興味ないんだがな。
…私、怖いの苦手なんだよね…
…こいつらは?
家並さんが七不思議の調査をするって言ったら、協力してくれるって。
…ふっ、人手が多い方が調査も捗る。

早速、調べてみるか。

図書室
…これか。
黒い事件簿1〜12
…あれ?

13って書かれた本がある…

やっぱり、七不思議は本当だったんだ…
…あれ?この本…
私、今借りてるの。
何っ?
うん。最終巻の、一つ前の巻。

ほら。

芽亜里は貸し出し記録を取り出して、見せる。
黒い事件簿A
…ふっ。なるほどな。

(スマホで検索する

『黒い事件簿』は12巻で完結したが、読者の支持を得て、続編を出す事にしたらしい。
…まあ、12巻までの作者が続編の執筆を断ったから、彼のアシスタントが引き継ぐ事になったらしく、話の内容が酷すぎて2巻で打ち切りになったがな。
おそらく、それを知らない奴が、続編のB巻を13巻と見間違えたんだろう。
…フン、人騒がせな奴だ。
次行くぞ次。
生物室
…これか。
あっ…!
ガチャンッ
家並さんが、人体模型の目玉を落として割ってしまう。
ちょちょちょ、何やってんの家並さん!?
これ…弁償だよね。
ふぇえ…だって…だってぇ…!

ぐすっ…ひぐっ…

(泣いた!?)
…おい、これを見ろ。
目玉の破片の中に、小型カメラのようなものが混じっている。
…ふっ、そういうことか。わかったぞ…ぐすっ…
この模型、ちょうどいい感じで角度を変えると…
この窓の一直線上には女子更衣室があるから、中にカメラを仕掛けておけば…
はい、大変便利な盗撮マシーンに早変わり!
…ふっ、仕掛けた奴が馬鹿じゃなければ、なかなか良いトリックだったがな。
これを職員室に突き出せば、すぐに犯人は炙り出されてめでたく退学処分だろうな。
それは家並さんの仕事じゃないんだね…
こんな事をするような変態、顔も見たくないからな。
音楽室
…あれか。
…ん?

ちょっと待て、あの絵、何か違わないか?

…ほら。
天明君は、肖像画を外して、自身のスマホで調べた画像と比較する。
…これは、おそらく絵を修復したが、失敗したんだろうな。
…でもその絵、先生が気に入っちゃったみたいで、そのまま飾ることにしたらしいよ。
ふ、ふーん…
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登場人物紹介

和戸 尊(わと たける)

14歳。中学3年生。

通称ワトソン君。

転校生の紗音に振り回される苦労人。

家並 紗音(やなみ しゃのん)

14歳。中学3年生。

御簾照中に転入してきた迷探偵。

厨二病を拗らせており、自身をシャーロック・ホームズの生まれ変わりだと信じ込んでいる。


天明 一才(てんめい かずさ)

14歳。中学3年生。

イケメンで文武両道の生徒会長。

とある事件に巻き込まれてしまい…?

樋貝 芽亜里(ひがい めあり)

14歳。中学3年生。

紗音たちのクラスメイトの女の子。

双子の兄がとある事件に巻き込まれてしまい…?

林野 幸(りんの みゆき)

23歳。自称王子様。

謎多き青年。

とある事件で、紗音たちと出会う。


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