第25話 亡霊のまさかの正体！？
文字数 1,205文字
…ふっ、諸君。わかったぞ。亡霊を名乗る犯人が、どんなトリックを使ったのかな。
…本当か！？
…ああ。…まずは、亡霊がどうやって現れて消えたかを説明しようか。
現れて、消えた…？
…ああ、家並さん、トイレから戻ってくる途中に、亡霊にあったらしいんだよね。
…なんか、見えたと思ったらその場で消えちゃったんだって。
…ふっ、あれは、実に簡単なトリックだったよ。
…ガラス板を使ったマジックでな。暗闇の中で、ガラスで作った多面体に下からスクリーンか何かで姿を映して、あたかもそこに人がいるように見せかけたんだ。
…そして、丁度いいタイミングであらかじめ用意した音声が流れるように、カセットテープか何かを用意しておく。
最後は、あらかじめ一定時間が経つと自動で電源が切れるように設定されたテープとスクリーンの電源が切れ、亡霊が消えたように見えたと言うわけだ。
…なるほどな。それなら、前準備さえしておけば、当日の持ち物検査に引っかかる事なく罠を発動できるな。
…そんな事より、早くどうやって大玉を割ったのか説明しろよ。
…犯人は、針など使うまでもなかったんだ。
…あの大玉は、簡単に手に入るあるもので、簡単に割ることができるんだ。
…あるもの？
…柑橘系の汁だよ。
ズバリ、説明しよう！
(急に、僕のスマホの画面に映った林野先生が出しゃばってくる。
せ、先生！？
貴様、なぜそこに…！
だって、紗音ちゃん、すぐ電話切っちゃうんだも〜ん。だから、ワトソン君の携帯に居座る事にしたんだ〜♪
ワトソン君！！
なぜ早く切らない！！
…え、だって何か事件の情報くれそうだし…
そうそう。黙って聞いときゃいいの。
…それじゃ、気をとりなおして、説明するね。
柑橘系の皮には、リモネンっていう成分が多く含まれてるんだけど…そのリモネン分子の構造が、ちょうど大玉に使われているゴムを構成しているイソプレンの構造と似てるんだよね。
…分子には、構造が似てるもの同士は溶解しやすいっていう特性があって、ちょうど、柑橘系の皮の汁が大玉のゴムを溶解させたってわけ。
さっぱりわからん。
とにかく、犯人は、柑橘系の皮の汁を使って、あらかじめ紙切れを入れておいた大玉を割ったんだ。
…え、それって、まさか…！
そう、運動会殺人事件の亡霊は貴様だ！！
松岡 修！！
…ちょっ、待ってくれよ！！
確かに、俺はみかんをいっぱい持ってきた。
だけど、それだけで犯人にされたんじゃ…
…私がトイレに行った時、暗闇の中に幻を見せたのも貴様だろう？
違うよ！！だって俺、体育館倉庫になんて、寄ってないんだぜ！！！
…ほう。
私は、トイレから戻った時に、亡霊に会ったとしか言ってないんだがな…
…なぜ、亡霊が倉庫にいたことを知っている？
…そ、れは…！
…まあ、あの状況で暗闇を作り出せる場所なんか、倉庫以外に無いんだがな。
…お前！
まさか、カマかけたのか！！
この程度の話術に騙される貴様が馬鹿なだけだ。
…全て、話してくれるな？
…俺は、
…待って！！
