最終話 さようなら 僕らの御簾照中学校

文字数 1,403文字

ちょっと待ったー!
家並さんが、松葉杖をつきながら廃ビルの建物内に入る。
…おい、親父。

そいつを殺す必要はない。

…紗音、お前…!
家並さん…!
…すまない、ワトソン君。

私とした事が、完全に油断していた。

だが、これ以上負けるわけにはいかない!

…まったく、君は本当に、人の気も知らないで無茶ばっかりするんだから。
おいおい、ちょっと、何止めてくれちゃってんの?

もうとっくにタイマーの数字は0になってんだよ!

病棟と校舎が木っ端微塵になっちゃうって言ったの、忘れた!?
…何と何が木っ端微塵だって?
家並さんは、スマホの画面を見せる。

病棟と校舎の映像が映る。

…は?

爆弾が…作動していない…!?

…ふっ、こんな事もあろうかと、手を打っておいて正解だった。
意識が戻ってすぐ警察に連絡して、爆弾処理班を呼んだのだよ。
…バカな、予測して先回りしてたっていうのか…!?
…3年間、ずっと考えてた。

犯人なら、次にどんな手を使って私達を殺そうとするかをな。

3年前、貴様に同胞を奪われた私だからこそ、貴様の行動を読む事が出来た。

…このゲームは私たちの勝ちだ、モリアーティ!!

…ははっ。

…あーあ。負けちゃった。

どうする?殺す?
…警察に身柄を引き渡す。それで貴様のゲームは全て終わりだ。

貴様など、殺す価値も無い。

…何だよ。つまんねーの。

ちゃんと殺してくれよ…。

う゛ッ、ゲホッ、ゲホッ…!
森谷は、いきなり吐血する。
…おい、貴様、どうした!?
…持病だよ。6年前、急に発病してね。

もう永くない。

だから、何もかもめちゃくちゃにして、俺自身も死ぬつもりだったんだ。

あーあ、最期くらい、かっこよく散りたかったのにな〜。
そこへ、警察が駆けつけてくる。
警察だ!!

両手を上げて大人しく投降しろ!


…はいはい。
森谷は、警察に連行される。
…貴様が私の事を好きだと言った時、本当は少し期待してたんだぞ。…残念だよ。
…俺も、君たちと一緒に過ごしてた時、ちょっとだけ、このまま普通の教師として生きていくのも悪くないかもって思ってたんだよ?
どうせ嘘だろ。
さあね♥︎

あばよ、クソガキ共。

…卒業おめでとう。



卒業式
(…あれから、森谷は逮捕された。そして、家並さんは順調に回復した。…お医者さんによると、全治半月で済んだのが奇跡だそうだ。今は、こうして卒業式に出席している。)
(今思えば、この1年間、色んな事があった。…ハラハラすることもあったけど、その一つ一つが、僕にとっては青春だった。)
…あ。親父。
…紗音。今まで、本当にすまなかった。

許してくれとは言わない。…だが、もう一度、俺を家族にしてくれないか。

パパね、あれから、紗音のすぐ側にいたいって言って、紗音の進学先の近くの家を買ってくれたのよ。これからは、3人で一緒に暮らしましょう。
…なんだよ、今さら…こっちが、どれだけ寂しかったと思ってんだよ…

…もっと早く、戻ってきて欲しかったよ、お父さん…!

…泣き虫なところはホント変わんねえな。

今まで、本当にごめんな。

…よかったね、家並さん。
わっ、ワトソン君!見るな!!

今は取り込み中だ!

まあまあ。

…そうだわ!みんなで、記念写真撮りましょう!

あら、樋貝さん。これから、一緒にお写真どうですか?
あら、松岡さん。お写真…
…また出たよ。

こっちが恥ずかしくなるからやめて欲しいのに…

…まあまあ。一緒に写真撮ろ!
…だな。
はい、じゃあみんな笑って〜!

はいチーズ!

カシャッ







END

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登場人物紹介

和戸 尊(わと たける)

14歳。中学3年生。

通称ワトソン君。

転校生の紗音に振り回される苦労人。

家並 紗音(やなみ しゃのん)

14歳。中学3年生。

御簾照中に転入してきた迷探偵。

厨二病を拗らせており、自身をシャーロック・ホームズの生まれ変わりだと信じ込んでいる。


天明 一才(てんめい かずさ)

14歳。中学3年生。

イケメンで文武両道の生徒会長。

とある事件に巻き込まれてしまい…?

樋貝 芽亜里(ひがい めあり)

14歳。中学3年生。

紗音たちのクラスメイトの女の子。

双子の兄がとある事件に巻き込まれてしまい…?

林野 幸(りんの みゆき)

23歳。自称王子様。

謎多き青年。

とある事件で、紗音たちと出会う。


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