第20話 二人の意志
文字数 1,200文字
…私の姉の菊は、2年前に自殺しました。
…いえ、正確には殺されたんです。
2年前
…。
キモいんだよ！！
死ね！！
…姉は、クラスメイトからのいじめに耐えかねて、自殺しました。
…私は、何もできなかった。
…でも、私は誓いました。
必ず、姉を死に追いやった奴らに復讐を果たすと。
…そんな時、家並先輩の噂を聞いたんです。
…私は、姉の名を名乗ってあなたたちの前に現れ、自身を超能力者だと偽りました。
推理オタクのお姫様が、超能力者を自称する人の事を放っとく訳ないもんね。
…君の目的は、ただ一つ。
…お姫様を利用して、菊ちゃんへのいじめの事を世間に広める事だったんでしょ？
…そこまで見透かされていましたか。
…そうです。私の目的は、姉がいじめを受けたという事実を明るみにすることだったんです。
…だから、超能力者を騙って先輩に相談に来ました。
先輩なら、私が超能力者だと言えば、間違いなく私の素性を調べてくれると踏んでいました。
あわよくば、いじめの事についても調べてくれるんじゃないかと…
お姫様は、それなりに有名な中学生探偵らしいし、彼女が事件を担当すれば、噂が広まるのはあっという間だからね。
…でも、なんでいじめの事を自分で公表しなかったの？
亡くなったお姉さんのフリをしてまで、わざわざ家並さんに依頼を出すなんて回りくどいこと、する必要無かったんじゃ…
…だって、中途半端なやり方だと、いじめの事実を無かったことにされちゃうかもしれないじゃないですか。
家並先輩程の人が事件を担当したとなれば、いじめの事実を隠蔽する事は難しくなる…だから、この計画を思いついたんです。
私は、あの日から、この計画を完遂させるために準備を進めてきました。
…全ては、姉の命を奪った全ての者たちへの復讐のため…
…この復讐は、私だけのものじゃない…お姉ちゃんと私、二人の意志です。
(その後、家並さんと林野先生の調査によって、ついに菊ちゃんへのいじめの決定的な証拠が見つかった。)
(桜ちゃんの計画通り、その事実はすぐに世間に広まり、菊ちゃんが在籍していた小学校の関係者は、いじめの事実を隠蔽していたとして糾弾された。)
ねえ、これ見てよ。
(スマホを見せる
当時菊ちゃんをいじめてた奴らが、個人情報をツイッターに晒されて、今大変らしいよ。
ネット通販の高い壺買わされたり、デリへルとか呼ばれたり、色々やられてるらしいね〜。
うっわぁ、リア凸動画まで上がってるし…ネット民って怖いね。
ふっ、いじめなどするからこうなるんだ。
自業自得だな。
…ねえ、なんで、家並さんは菊ちゃんのいじめについて調べてあげたの？
…騙されたままだと癪だからな。
西園寺 桜には、満足して帰ってもらったよ。
…家並さん、いいとこあるじゃん。
…じゃあ、僕そろそろ用事あるから行くね。
…おい！和戸！！
ひ、人塚さん！？
…あんた、もっと林野先生の情報集めなさいよ！！
好きな音楽とか、色とか！！
も、もう勘弁してぇえ〜！！
