第5話 優等生大ピンチ！？
文字数 1,417文字
ふっ…。
家並さんは、ココアシガレットをいい感じのポーズで食べている。
(パイプのつもりかなぁ…ってか、学校にお菓子って持ってきちゃダメじゃなかったっけ？)
…何やってるんだ。
て…天明君！？
(同じクラスの天明 一才(てんめい かずさ)君。
7月12日生まれで、かに座のA型。)
(文武両道でイケメンで真面目な生徒会長。)
(いつ見てもかっこいいなぁ…同じ男子だけど。)
…校則では、菓子類の持ち込みは禁止だった筈だが？
ふっ…私は、法などに縛られるつもりはない。
(探偵がそう言うこと言っちゃいけなくない…？)
…没収だ。
ぐぬぬ…
…その様子だと、次の中間は期待できなさそうだな。
中間？何の話だ。
え…もしかして、家並さんテストのこと忘れてた…？
もう1週間前だよ。
ふっ、慌てるな。
この私に解けない謎など…
…家並、お前は、前の学校での成績は下の下だったそうだが？
…ただし学校の勉強は嫌いだ！(キリッ
(ドヤ顔で言えることじゃないでしょ…)
放課後
すまない、ワトソン君…助けてくれないか？
えぇ…僕だってそんなに頭良くないよ。
…あの、家並さん。
…君は。
この前は、兄を襲った犯人を見つけてくれて、ありがとう。
兄は、順調に回復しているみたい。
…ふっ。それはよかったな。
…それで、何かお礼がしたいんだけど…
本当か！？
では、テストが迫ってきて困っている。助けてくれ！
(いきなり！？)
じゃあ、この後勉強会しない？
わからないところがあれば、私に聞いて？
(さすが学年屈指の優等生…！)
テスト後
…今回も、普通だったな。
ふっ…なんとか赤点は免れたようだ。
ざわざわ…
あれ…？
なんか騒がしいね。どうしたのかな？
あれ？知らないの？天明君が、カンニングがバレて転校することになったらしいよ。
えっ…！？
…高校の推薦も、取り消しですって。
ショック…
私、天明君の事、好きだったのに…
家並探偵事務所(紗音の部屋)
天明君が…
あの天明君が、不正なんてするわけないんだ…！きっと何かの間違いだ！
ふっ。どうせそんな事だろうと思っていたよ。
イケメンな完璧超人などという人種を信用する奴は馬鹿だ。
ああ、ウザい奴が消えてくれたおかげで空気が美味しいな。
…家並さん、不謹慎だよ！
…私はな、あいつにお菓子を奪われたあの日から、あいつだけは絶対に許さんと心に誓ったのだ。
そんな理由で…
食べ物の恨みは恐ろしいのだよ、ワトソン君。
ピンポーン…
宅配便かな…？
はい。(ガチャッ
家並はいるか。
…天明君！
やあ、地獄からはるばるようこそ、卑怯者。
(肘で紗音を小突く。
…お前は、どんな事件でも必ず解決する凄腕の探偵らしいな。
そんなお前に、頼みがある。
…俺に濡れ衣を着せた犯人を見つけて、俺の無実を証明して欲しい。
断る。
私にメリットがないじゃないか。
私をその気にさせたいなら、土下座でもするんだな。
…ほら、誠意を見せてみろ。
ちょっと、家並さん！いい加減にしてよ！！
…天明君、真に受けなくていいからね！
…。(スッ
…え。
頼む。どうしてもお前の力が必要なんだ。
どうか、俺に力を貸してくれ。この通りだ。
(地面に額をつける。
(…あの天明君が、頭を下げた…
きっと、信じて貰いたいと思ってるからこそ、プライドを捨てて本音を言う事ができるんだ…。)
ふっ。滑稽だな。まさか、本当にやるとはな。貴様にはプライドというものが無いのか。
だが、約束は約束だ。
…約束しよう。必ず貴様の無実を証明してみせる。
本当か！？
…ありがとう。
家並さん！
さあ、いざ、謎解き開始だ！！
