第86話 秋のふとんは時間を止める

文字数 1,023文字

危機感は時間によって醸し出される。
暴力を行使したいという、ウィスキーのような芳醇な香りが熟成していく。
手を出してはいけないと分かりつつも、今こそと言うタイミングが来てしまう。

ガザ地区のニュースを見続けている、耐えに耐えぬいてこの時が来たと語る人物はTVに出て主張したい人である。
襲撃で家族を失った人は、TVに出たい人物であろうか。
大半が何事も無く新年を迎えられますようにと 考えていると思う。

ガザ地区の難民支援に使われた資金を元に、3Dプリンターや最新のガジェットを使いイスラエル側への襲撃テロ事件が行われたと言われている。
日本や世界もテロを支援した国の一部であるわけだが、難民側の報道をすることで「あの時は正しいことをした」という、精神の安定を望んでいる。

ガザ地区で行われるであろう、ウクライナでも現在進行で行われている地上戦、血で血を洗う惨劇を傍観するなら、全世界で双方に支援しないという方法がある。
いずれはどちらかが勝つ。

それは不人情であるという罪悪感が、戦争外交の骨格部分で
肉の部分には暴政隣国に立ち向かう姿で、自国の不満をそらそうという実利かもしれない。


「秋のふとんは時間を止める」

好天が続いている。
外に出かけようかと思うのだが、暑くもない寒くもない負担の無い陽より、ごろりと横になるともう眠い。
休日でさしたる業務も無ければ、陽の出ている時間でも寝たくなる、
日差しで温まった布団と外気の微妙な寒さが合わさると時間が止まる。

気がつけば夕暮れ時にまで連れて行かれる訳だが、当人には時間経過は無い。
惰眠と呼ばれているが、この時間を意識しない間というのが精神衛生上に良い。

なにもしないことで、一つ健康に近づいたと考えれば大いなる成果だが、新たなる知見を得るタイミングを失ったと思うと、急に無駄にしたことへの後悔が湧いてくる。

SNSを見たら長寿番組「笑点」の大喜利コーナーで座布団10枚を達成したらしくこれを見逃してしまったらしい。
無性に勿体ないことをしたという気分になるが、それが意味の無い気落ちであることも、薄々に感じている。

パスタの乾麺を茹で、ツナと醤油を加える。
大玉半分のタマネギを刻みコンソメと塩こしょうで味付けしただけのスープ。
大根をスライスしたサラダで夕食をとる

21時のNHKスペシャルを見たところで、就寝時間では無いがまた眠くなってくる。

日没後の寒さに冷えたわけでは無い毛布 秋の布団はよく時間を止める。

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