第59話 東北の旅5 遠野まつり

文字数 1,481文字

片付けには苦労する。

身の回りを片付けないのは単に先送りしているだけなので、不要物をテキパキと処理をすれば割とどうにかなる。
仕事の資料というのは外部記憶もしくはこの先に必要な知識のため、必要なときに取り出さなければ意味をなさない。
片付けることは、将来的な脳の拡張に備えるということでもある。
資料を分別し、必要な内容を覚えなければならない。ゴミとして減らすことと、取り出し効率化を上手くやらなければ、お決まりの「何か詰まった無用の空間」となる。

納戸にあった段ボール箱を開けたら、大量の絵はがきが出てきた。
のみの市で大正昭和初期の何枚かが組みとなった観光絵はがきが箱ごと売り出されていて、レトロ写真として購入したのである。

機会があれば写真の場所を訪れて、現在と比べてみようと思っていたのだが、開封すると微細な粉かカビだかが舞うので、咳き込んで先に進めず 肺にも悪そうなのでいずれ換気装置とマスクを用意して手をつけようと思い、放置していたのである。

マスクはコロナ禍からの買い置きがまだある、窓辺に移動してサーキュレーターで強制的に吹き飛ばしながら中を確認する。
観光絵はがきは、古き時代の旅行雑誌のようで趣がある。
有名神社のものもあった。建物すべてが変わることは多くない、新旧比較が容易なのでこれは訪ねがいがあるかもしれない。

過去の蓄積から空間を空けるつもりで始めて、未来の予定を一つ作ってしまった。

「東北の旅5 遠野まつり」

岩手県遠野地方には年に一度9月に郷土芸能祭り「日本のふるさと 遠野まつり」がある。
柳田国男 遠野物語でも知られる遠野市は、日本の昔ながらの風景が良く残ってる。
遠野の1番の魅力は各地域で郷土芸能が、現在まで継承していることであろう。

地域ごとの芸能を市街地のパレードでお披露目しようというのが遠野まつりで、わたしはしし踊りに魅了されて以来毎年のように通っている。
車も関東から遠野までの往復が大前提で買い換え、正直実家に戻るより訪問数が多い。

遠野のしし踊りは、盛岡などで見られるものとは違う。太鼓を鳴らしながら舞う太鼓踊り系と、太鼓が分かれて舞う幕踊り系に大別される。
遠野しし踊りは後者で前幕を使った踊りと、刀かけという一緒に踊る少年少女が、抜刀して舞うのが特色の一つである。

どういうものかは 遠野 しし踊り で動画検索していただくとして、この幕踊りも地域ごとに分かれているので、一目でどの地域のしし踊りか分かるようになったら遠野通と言えるだろう。
他にもさんさ 田植え踊り、婦人会の手踊り、神楽、神輿、交通の要衝で財をなした商人が贅を競った南部ばやしは、東北の1地方に突如として現れる不思議である。
初日はこれが昼から数時間に渡って続き、しし踊り大群舞で一旦終了となるが、日暮れ前には夜の部が始まる。
通り抜けと道路の一角で地域ごとに披露する芸能があるのだが、全体の1/4程度しか見られないので、今年はこの団体、明日は違う団体と見通すには最低3.4年はかかり、その間にも踊り手が代替わりしていることもあるので、毎年行っても飽きることはない。

朝10時頃には到着、場所取りをして、夜の部を見終わる頃には20時を過ぎているのでかなりの長丁場。
宿の夕食時間には間に合わないので、毎年コンビニ飯で一日を終えることになる。

以前は震災自粛、現在はコロナ禍で小規模になったがむやみに観光客が押し寄せるでもないので、日がな一日祭りを見る分にはちょうど良い。

開催時期は9月の中頃なので、最初は汽車で昼過ぎに訪れて適当に引き上げるぐらいをおすすめする。

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