第84話 webトゥーン

文字数 1,221文字

パレスチナ問題は英国の通称三枚舌外交から始まったと言われる。
1915年10月 フサイン-マクマホン協定(中東のアラブ独立支持)
1916年5月  サイクス-ピコ協定(英仏露による中東分割案)
1917年11月   バルフォア宣言(ユダヤ民族居住地建設容認)
第一次世界大戦のオスマン帝国に対する計略とは言え、勝てばどうにかなるものでは無く火種になってしまったことは近代世界史で一番覚えるべきポイントだろう。
その後も中東戦争が続いて現在に至る。

日本が中東情勢に関心が無いように、西欧も極東情勢には関心が無い。
極東史を端的に語れば、日本帝国がアジア進出を行い、アメリカとの全面戦争となってしまったため極度の疲弊戦に持ち込まれ新型核兵器を使用され敗北、結果日本撤退後に武力解放の気運が高まり、西欧統治領からの独立が進んだと言ったところだろうか。

日本の施政も日米同盟の確立から安定期に入っているが、海外からみれば近隣に直接戦争が起きていないので、そろそろ極東でも始まるだろうという考えだろう。

現代では国連常任理事国が拒否という既得権を使って、独裁制を盤石にしようとしている。
日本国内の側から見れば 永遠に続く戦争の無い平和な時代かもしれないが、縄張り争いという原初的な欲望は、強くなった時に必ず現れている。

コロナ禍は次の戦争のための準備期間となったと言われるかもしれない。

「webトゥーン」

最近よく聞く話に「日本の漫画はもう駄目だ webトゥーンの時代だ」があって、実際に売り上げも伸びている。
webトゥーンはスクロールの時間軸によって進むので、映画的演劇的とも言えてなにより見るための端末普及率が高く全世界が市場となる。

日本の漫画史を紐解くと「巻物」から始まる webトゥーンはこの巻物時代に戻った先祖返りとも言われるので、日本に手塚治虫が登場したように よりおもしろい表現に進化して行くかもしれない。

わたしはここから来る日本は駄目だ論には否定的で、これには三つの根拠がある。
一つは内心、表現の自由が憲法により担保されているので、思想、政治的な理由で制限がかからないこと。

次に、webトゥーンはフルカラースクロールの形式で載せる関係上、個人で全部の作業を終えるのは難しく会社単位になりがちなこと。
企業利益優先となるとゲーム業界が続編物ばかりになったように、人気タイトルに偏り利益の見込みの無い企画は淘汰されて行くであろう。

最後に、web掲載は改ざん消失しやすく、配信停止で読み物が消えたりするので印刷物の無二性とは比較にならない。ビデオデッキ誕生以前のTV放送にアクセス出来ないのと同じで、「なにかそういうものがあった」記憶しか残らない可能性がある。

単独アーティストが独立で権利を持つ日本式の漫画スタイルは、webトゥーンが普及後の閉塞に対抗できると考えている。
資産にならない消えものには投資しないというのがわたしの考えである

おもしろかったらまたどうぞ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み