第91話 朝市に行く

文字数 1,010文字

怒りのコントロールは難しい。
今日も単純なレジ打ちが出来ない販売員に、思わず声が出そうになったのだが「んんぬぅのあつ」という言語にならないところで止(とど)めた。
ぎりぎりにセーフだと思いたい。
前の購入客は普通に出来て、こちらのレジ打ちは何度も失敗するというのは、最初で妙なプレッシャーでも与えてしまったのだろうか。
5回ほど間違っていたので、我慢が足りないかどうかの判断はお任せする。

二人目だったので「最初だからあと頑張って」と声をかけようかと思ったが、いらぬメッセージを発して、滑舌悪く聞き取れなくなれば余計ややこしいことになる。ここはめんどくさかった客は忘れた方が良かろうと、釣り銭にうなずいて退散した。


野生動物は怒らないという話を聞いたことがある。
生命やテリトリーの侵犯、餌やつがいを奪われそうになった時には怒りを見せるが、それは威嚇で有り 怒りではないという説である。
世の中には威嚇のために怒鳴り散らす人もいるので、それは自分の強さを誇示しているので、わたしは威嚇している動物扱いにしている。

今日は動物扱いにならなくて幸いであった。

「朝市に行く」

商業施設の朝マーケットに出かけた。
開店してしばらくしていたが、目玉商品がまだあったので良い買い物が出来た。

この得をしたというのは成功体験で記憶されるが、よくよく考えるとそうでもないことが多い。
よく言われるのは、”隣町の特売に車で行って安く買ったところで、ガソリン代と駐車場代で損をしている”という指摘であるが、分かっていてもイベント的に行ってしまうものである。

安くて大盛りの店などに はるばる行くのは、非論理的な愚の骨頂なのだが、わたしもかなりやっている。
これは、行動と成功が結びついた記憶が 優位にあるからであろう。
実は金銭的に損をしたというネガティブな結果よりも、強い印象が上回っているので 分かっていても行ってしまうのである。もはや自分に騙されているといっても良い。

TVなどでよく見る、レトロなうどん自販機のうどんをわざわざ食べに行きたいという気持ちは、完全に損であり時間とお金の無駄と重々承知はしているが やはり行ってみたくなる。
外で食べるうどんを美味しいと思うのは、まったくもって気の迷いである。

目玉商品は冷凍うなぎの蒲焼き 1尾1000円はお得だったかもしれないが、うなぎのタレと山椒が意外に高いことに気がつくのは、帰宅後であった。

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