第30話

文字数 693文字

ベンチに座る僕の近くを幼い娘さんと、その両親が通りかかった。

母親「何してんのっ!!
娘さん「…タイプやもん」

父親は聞かなかった。って素振りで先を歩きだした。マスクを下げた娘さんを笑顔で迎える母親。

俯きながら僕の方へ。フフッ。僕が母親をチラッと見ると娘さんに笑顔を送り続けている。成長が嬉しいみたい。

娘さんは近寄ると横を向く。覗き込むと少し笑顔になってくれた。母親が持っていたぬいぐるみを、手に取ると。両手でギュッとした。

母親「今日は、それ持ってて?フフッ」
娘さんは、ぬいぐるみを両手でギュッとしたまま。先を歩きだした母親の後ろをついていった。

僕「上出来だ。好きになっちゃいそうだった。フフッ」

良い練習台になれたかどうか?それだけ気になった。従姉妹みたいに幸せな相手が…出来るんだろうな。

小山さん「今日は…お話しがあります」
僕「そうですか。フフッ」

此処に心在らず。な雰囲気と今までにない。畏まった言葉遣いに。何だか、そっか。って。なりながら。

小山さん「大学へ進学した…東京に行った、友達から一緒に飲食店せーへんか?って。言われてたんですよ。色々、考えて。頑張ろうかな?って。なりました」

僕「その決断を止める権利はないし。この先。色々、困るだろうけど…」

それは、僕も含めて「困る」んだけど…そっか。って。なる事が…良いんだろうな。って。

僕「出来ちゃうと、思うよ?何で、自信が無いのか分からないけど。フフッ。本当は…分かるけどね?」

小山さんと僕「キャハハッ」

僕「連絡くれれば、嬉しい…かな?」
小山さん「…めんどーなんで、しないと思います」

小山さんと僕「キャハハッ」

僕「良いよ。それで。フフッ」
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