第17話

文字数 546文字

大御所「…唐揚げ…弁当やな」
僕「唐揚げ弁当ですね」

大御所と僕「…」

大御所「…はいってんのは…人参茹でたんと…ジャガイモ揚げてんのと…枝豆?…焼いてるんか?」

僕「…そっすね…丹波の黒豆ですけど…時期なんで…期間限定です…」

大御所「何を工夫したんか?聞いとくわ?」
僕「…はい。ご飯は傾斜をつけて、よそいました。具材に立体感が…でます。唐揚げとご飯の間に大葉を添えています」

大御所と僕「…」
僕「…TVで観ました…」

大御所「…お前なぁー?」
僕「…ブロッコリー茹でたの。…何で言ってあげないんですかっ!!ブロッコリーが可哀想ですっ!!

大御所「せやな…ブロッコリーもいるな…」

僕「唐揚げは、新しい油が色付くまで揚げて、ちょい残しの油と新しい油を混ぜてからのものです。比率は企業秘密なので…ちょっと…」
俯き加減で眉間にシワを寄せて。


大御所と僕「…」
チラッと大御所を、見ると…。笑顔で…。
僕「…TVで観ました…」
再び俯きながら伝えた。

大御所「フフッ…美味しいけどな?」
僕「ありがとうございます…」

大御所「お前らしい。言うたら。らしいけどな」
僕「ありがとうございますっ!!

今日は帰る。宣言もなくて。タクシーが停まっていた。もれなくの、謎のタクシーにビビりながら。

考えないように…。しないと。…こ、怖いな…。
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