詩 五編 8

文字数 482文字

1 超人の境地

重荷負い 沙漠の上を 独りゆく
ラクダが独り 忍耐強く

()すべしてふ 声に抗い ライオンへ
我は欲すと 獅子吼する

創造の 戯れ求め ライオンは
無垢なる子へと 姿を変える

2 受刑者

壁の中 規則正しく 時は過ぐ
為すべきことを ただ為して

娑婆(しゃば)に出た 男が一人 立つてゐる
途方に暮れて 物憂げに

為すべきことを 見いだせず
自由の刑に 処せられて

3 バイオリン

ケースに眠る バイオリン
その機能は 金に等しく
その本質を 奪われて
聞く人もなく 眠り続ける

4 蝶

ひら ひら ひら ひら
アゲハ舞い
ひら ひら ひら ひら
花と舞う

この世は夢か 幻か
夢に荘子は 蝶となる

5 ロシアの不良

ロシアの地 北極圏の刑務所で 
ナヴァリヌィという男が死んだ

反移民 反イスラームを主張した彼は
公権力との戦いで何度も逮捕され
捏造された罪と反抗の罪で罰を受けた

毒を盛られた彼は
飛行機に乗っているときに体調が悪化し
意識不明に陥ることもあった

そんな彼が 北極圏の刑務所で
散歩後に意識を失い死んだという 

亡くなる前 彼はメッセージを遺した
諦めるな
これが公正な民主主義を望み
移民ぎらいの不良が遺した言葉だった
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