第20話 〈バーン・オブ・ハイランダー〉その①
文字数 4,304文字
プレイヤー二人が共用するデッキを念入りにシャッフル。全種のカードがまんべんなく散らばるように、神宮寺はこれでもかというほどシャッフルに時間をかけていた。
「おい。いつまでシャカシャカやっているんだ?」
「お寿司でも握っているんですかぁ?」
待たせすぎたせいで、プレイヤーのモチベーションが下がり始めている。
つまらない勝負はさせたくないし、見たくもないので、神宮寺は手を止めた。
「すまん。シャッフルはもう十分だな」
神宮寺はデッキをテーブルの真ん中に置いた。ライフカウンターを操作し、夕凪と古賀のライフを『10』にセットする。
「それじゃあ、先攻後攻を決めてくれ」
夕凪と古賀はジャンケンをし、古賀が先攻に決定した。
さすがに、何度もやっているだけのことはある。互いにごねず、先攻後攻があっさり決まった。初心者を相手にしているときと違い、ゲームマスターの仕事がやりやすく、神宮寺は安心した。
「古賀。デッキの上からカードを五枚引け」
古賀の後に、夕凪も五枚引いて、互いに手札が揃った。ここから本格的にゲームが始まる。
神宮寺は、互いの手札をこっそり覗いた。
先攻の古賀の手札は、
『盾 』:ライフにダメージを与えるカードの効果を一つだけ無効にする。
『肉 』:自分のライフを2点増やす。
『弓 』:相手のライフに3点のダメージを与える。
『封 』:相手の手札を見てカードを任意の枚数選びゲームから取り除く。
『爆 』:相手が使用した防御系カード(盾、囮、蓋、鏡)の効果のいずれか一つを無効にする。
手札除去 カードの『封』と、防御系カードの『盾』。さらに、防御系カードの効果を無効化する『爆』が初期手札にあるのは強い。何がきてもワンキル(一ターンで決着をつける、ワンターンキルの略)されない手札である。
対する、後攻の夕凪の初期手札は、
『薬 』:自分のライフを3点増やす。
『囮 』:ライフを増やすカードの効果を一つだけ無効にし、相手のライフを3点
『幸 』:自分のライフを4点増やす。
『宝 』:自分はデッキの上からカードを二枚引く。
『呪 』:自分と相手は手札をすべてゲームから取り除く。その後、呪の効果でゲームから取り除いたカードの枚数分だけ、相手のライフを
手札次第ではワンキルが狙える『呪』。無条件でカードを二枚引ける『宝』。相手の回復を封じる『囮』。この三枚が手札にあるのは強い。まずは『宝』の二枚ドローで様子見が
しかし、古賀の手札にはハンデスカードの『封』がある。いきなり『封』を使われたら、ワンキルの戦法が無と化すだけでなく、最悪、手札をすべて除去されてしまう。使われたら困る『封』のカードを、夕凪はどう対処するのか……。
「ドローフェイズ。カードを引きます」
先攻ドロー。古賀の手札に、
『実 』:自分のライフを1点増やす。
ライフ回復カードが加わった。この時点で手札は六枚。
「メインフェイズに入ります」
古賀は不敵に笑った。
「夕凪さん、でしたっけ? あなた、戦略型 カードゲームの経験は?」
「子供の頃、弟と一緒に何度か……」
「フフッ、素人も同然ですね。では、戦略型 カードゲームにおいて、重要な要素をご存じないのでは?」
「その名の通り〈戦略〉でしょ?」
「正解」
古賀はパチパチと拍手した。
「大金を注ぎ込んで手に入れた強力なカードでデッキを組んだとしても、それらを行使する術を持たねば勝つことは難しい。好きなカードをいつでも引くことができる神がかった強運の持ち主でもない限り、手札事故による自滅は必至です」
戦略を組み立てるためか。
あるいは、夕凪の出かたを窺っているのか。
古賀がカードゲーム論を得意げに語り出した。
神宮寺は「残り五十秒」と制限時間を告げた。
「では、同名カードを一枚以上入れられない(ハイランダー)デッキで、はたして戦略は成り立つのか? 答えは、『ルールによっては成り立つ』です。通常のハイランダー戦では、どのカードがどのタイミングで自分の手にくるのかわかりません。なので、プレイヤーはコンボ要素を取っ払って、単体で強いカードを多く採用します。相手のライフを削るルールであれば、ライフを削る効果のカードを大量に投入するでしょう。しかし、今回のようなデッキ共用ルールでは……」
「今は、メインフェイズで間違いないか?」
古賀の話の最中に、夕凪が神宮寺に質問した。
「ああ。間違いない」
「なら、わたしは手札からこのカードを使う」
ぺたり、とテーブルに置かれたカードは、ワンキルカードの『呪』だった。
「おいーーーーッ!?」
車のアクセルを一気に踏み込んだみたいに、古賀の怒りが爆走した。
「馬鹿ッ! この大馬鹿者がッ! 今は、わたしのターンでしょうがッ!」
「何を言っている。すべてのカードはメインフェイズでのみ使用可能。今が、そのときだろ?」
神宮寺は頷く。
自分のターンだろうと相手のターンだろうと、メインフェイズだけは平等なのだ。プレイヤーは手札にあるカードを使うことができる。もたもたしていれば、カードを先に出されるのは必然である。
「今、わたしの手札は『呪』を切って四枚に減った。そして、お前の手札は六枚。『呪』の効果が発動すれば、互いの手札合計十枚がゲームから取り除かれ、枚数分の10点がお前のライフから削られる。ライフが、丁度0 になるぞ」
「あー、はいはいッ! わかりましたわかりましたーッ!」
古賀は手札から『封』を抜き取り、テーブルに叩きつけた。
このゲームでは後に出されたカードの効果が先に発動するので、この場合は、夕凪の『呪』より先に古賀の『封』の効果が発動する。
「わたしは『封』を使います! あなたの手札を根こそぎブッ壊してやりましょう! ワンキルなんて、クソくらえです!」
「わたしは『薬』を使う」
古賀の『封』に、夕凪の『薬』がチェーンする。
ワンキル失敗は確定。夕凪は手持ちのカードを使い切り、古賀の『封』によるハンデスを防ぐことにしたのだろう。
「『弓』を使います!」
夕凪の『薬』に、古賀の『弓』が打たれる。
古賀も、夕凪の『呪』のダメージ軽減のために手札を減らし始めたのだ。
「さらに、手札から『肉』を使います!」
自分が使った『弓』に、『肉』が続く。
「『囮』を使う」
夕凪の手札から、古賀が出した『肉』の効果を無効化し、さらに3点ライフを減らす『囮』のカードが切られた。
「『爆』を使います!」
夕凪の『囮』の効果を打ち消すため、古賀はすかさず『爆』を切った。
「『幸』を使う」
「『実』を使います!」
古賀の『爆』に対し、夕凪はライフ回復カードの『幸』を切り、便乗するかのように古賀もライフ回復カードの『実』を使う。
これで、古賀の手札は『盾』一枚だけになった。
「『宝』を使う」
夕凪は、最後に温存させていた『宝』を使った。これで、夕凪は手札0 枚。
だが、『宝』の効果で二枚ドローできるので、使うタイミングが合うカードを引けば、場に出すことができる。
「カードの効果を順番に処理していく」
神宮寺はいったん、カウントを止めた。カードの効果処理には時間がかかるので、一分の制限時間では足りないのだ。
「効果が発動する順番は……」
①宝(夕凪)
②実(古賀)
③幸(夕凪)
④爆(古賀)
⑤囮(夕凪)
⑥肉(古賀)
⑦弓(古賀)
⑧薬(夕凪)
⑨封(古賀)
⑩呪(夕凪)
効果は、①から⑩へ、順番に発動する。
「まず、夕凪だ。『宝』の効果でカードを二枚ドローしろ」
「二枚ドロー」
夕凪が引いたカードは、
『銃 』:相手のライフに5点のダメージを与える。
『店 』:自分はデッキの上からカードを一枚引く。その後、自分は手札のカードを一枚ゲームから取り除く。
攻撃系カードの中で一番の火力を誇る『銃』と、ドロー補助系カードの『店』だった。どちらも、今すぐ使用できる効果のカードである。
「夕凪。どうする?」
神宮寺は効果処理を終えた『宝』をデッキの一番下へ入れた。カードをデッキ下へ送る作業は、効果発動の処理と同時に、神宮寺が行う。
「『銃』を使う」
「はい! 『盾』を使います!」
夕凪の攻撃を、古賀は最後の一枚で防ぐ。これで、古賀は手札が0 枚になった。
「『店』を使う」
引いたばかりのカードを切り、夕凪も手札0 。
互いに、もう一枚も出せるカードを持っていない。
改めて、神宮寺はカードの効果処理を始める。
「三枚のカードがチェーンした。したがって、効果発動の順番は……」
①店(夕凪)
②盾(古賀)
③銃(夕凪)
④実(古賀)
⑤幸(夕凪)
⑥爆(古賀)
⑦囮(夕凪)
⑧肉(古賀)
⑨弓(古賀)
⑩薬(夕凪)
⑪封(古賀)
⑫呪(夕凪)
効果発動の順番は、①から⑫へ。
「夕凪の『店』が一番最初だ。カードを引き、そのカードは使用されないまま、『店』カードのコストとしてゲームから取り除かれる」
「ドロー」
夕凪が引いた一枚は、
『剣 』:相手のライフに1点のダメージを与える。
神宮寺は夕凪から『剣』を受け取り、テーブルの端に置いた。
ゲームから取り除かれたカードは、
『蘇 』:ゲームから取り除かれているカードを一枚選んで、自分の手札に加える。
この『蘇』の効果で再利用ができるので、取りやすい位置に除外しておく。
「続いて、古賀が使った『盾』が発動する」
古賀の『盾』は、夕凪が場に出した『銃』の効果を無効化する。よって、次に効果処理される『銃』で古賀はダメージを受けない。
「次は『実』だ」
古賀のライフが『実』の効果で1点回復。残りライフが、11点となった。
続いて、夕凪の『幸』が発動し、4点回復。夕凪の残りライフは、14点。
古賀の『爆』が夕凪の『囮』を破壊(無効化)。
夕凪の『囮』は『爆』で効果を消され、ただの紙切れと化した。
その後、古賀は『肉』で2点回復。残りライフ13点。
間髪入れずに、古賀の『弓』が発動。3点ダメージを受け、夕凪の残りライフは11点に減った。
しかし、夕凪の『薬』が発動する。夕凪は3点回復で、残りライフ14点。
次は古賀の『封』が発動するのだが……。
「夕凪さんの手札がないですね」
「使うタイミングは合っていた。イカサマではない。『封』は発動せず、手前の手札に戻る」
そして、最後に夕凪の『呪』が発動する。さっき手札に戻った古賀の『封』を除外し、枚数分の1点ダメージ。古賀は残りライフ12点。
場に出されたすべてのカードは、効果処理を終えた順からデッキの下に戻っていった。
「……何もありません。ターンエンドです」
夕凪、残りライフ14点。
古賀、残りライフ12点。
互いに手札0 枚。
後攻プレイヤー、夕凪にターンが渡った。
「おい。いつまでシャカシャカやっているんだ?」
「お寿司でも握っているんですかぁ?」
待たせすぎたせいで、プレイヤーのモチベーションが下がり始めている。
つまらない勝負はさせたくないし、見たくもないので、神宮寺は手を止めた。
「すまん。シャッフルはもう十分だな」
神宮寺はデッキをテーブルの真ん中に置いた。ライフカウンターを操作し、夕凪と古賀のライフを『10』にセットする。
「それじゃあ、先攻後攻を決めてくれ」
夕凪と古賀はジャンケンをし、古賀が先攻に決定した。
さすがに、何度もやっているだけのことはある。互いにごねず、先攻後攻があっさり決まった。初心者を相手にしているときと違い、ゲームマスターの仕事がやりやすく、神宮寺は安心した。
「古賀。デッキの上からカードを五枚引け」
古賀の後に、夕凪も五枚引いて、互いに手札が揃った。ここから本格的にゲームが始まる。
神宮寺は、互いの手札をこっそり覗いた。
先攻の古賀の手札は、
『
『
『
『
『
対する、後攻の夕凪の初期手札は、
『
『
減らす
。『
『
『
減らす
。手札次第ではワンキルが狙える『呪』。無条件でカードを二枚引ける『宝』。相手の回復を封じる『囮』。この三枚が手札にあるのは強い。まずは『宝』の二枚ドローで様子見が
普通の手
だろうか。しかし、古賀の手札にはハンデスカードの『封』がある。いきなり『封』を使われたら、ワンキルの戦法が無と化すだけでなく、最悪、手札をすべて除去されてしまう。使われたら困る『封』のカードを、夕凪はどう対処するのか……。
「ドローフェイズ。カードを引きます」
先攻ドロー。古賀の手札に、
『
ライフ回復カードが加わった。この時点で手札は六枚。
「メインフェイズに入ります」
古賀は不敵に笑った。
「夕凪さん、でしたっけ? あなた、
「子供の頃、弟と一緒に何度か……」
「フフッ、素人も同然ですね。では、
「その名の通り〈戦略〉でしょ?」
「正解」
古賀はパチパチと拍手した。
「大金を注ぎ込んで手に入れた強力なカードでデッキを組んだとしても、それらを行使する術を持たねば勝つことは難しい。好きなカードをいつでも引くことができる神がかった強運の持ち主でもない限り、手札事故による自滅は必至です」
戦略を組み立てるためか。
あるいは、夕凪の出かたを窺っているのか。
古賀がカードゲーム論を得意げに語り出した。
神宮寺は「残り五十秒」と制限時間を告げた。
「では、同名カードを一枚以上入れられない(ハイランダー)デッキで、はたして戦略は成り立つのか? 答えは、『ルールによっては成り立つ』です。通常のハイランダー戦では、どのカードがどのタイミングで自分の手にくるのかわかりません。なので、プレイヤーはコンボ要素を取っ払って、単体で強いカードを多く採用します。相手のライフを削るルールであれば、ライフを削る効果のカードを大量に投入するでしょう。しかし、今回のようなデッキ共用ルールでは……」
「今は、メインフェイズで間違いないか?」
古賀の話の最中に、夕凪が神宮寺に質問した。
「ああ。間違いない」
「なら、わたしは手札からこのカードを使う」
ぺたり、とテーブルに置かれたカードは、ワンキルカードの『呪』だった。
「おいーーーーッ!?」
車のアクセルを一気に踏み込んだみたいに、古賀の怒りが爆走した。
「馬鹿ッ! この大馬鹿者がッ! 今は、わたしのターンでしょうがッ!」
「何を言っている。すべてのカードはメインフェイズでのみ使用可能。今が、そのときだろ?」
神宮寺は頷く。
自分のターンだろうと相手のターンだろうと、メインフェイズだけは平等なのだ。プレイヤーは手札にあるカードを使うことができる。もたもたしていれば、カードを先に出されるのは必然である。
「今、わたしの手札は『呪』を切って四枚に減った。そして、お前の手札は六枚。『呪』の効果が発動すれば、互いの手札合計十枚がゲームから取り除かれ、枚数分の10点がお前のライフから削られる。ライフが、丁度
「あー、はいはいッ! わかりましたわかりましたーッ!」
古賀は手札から『封』を抜き取り、テーブルに叩きつけた。
このゲームでは後に出されたカードの効果が先に発動するので、この場合は、夕凪の『呪』より先に古賀の『封』の効果が発動する。
「わたしは『封』を使います! あなたの手札を根こそぎブッ壊してやりましょう! ワンキルなんて、クソくらえです!」
「わたしは『薬』を使う」
古賀の『封』に、夕凪の『薬』がチェーンする。
ワンキル失敗は確定。夕凪は手持ちのカードを使い切り、古賀の『封』によるハンデスを防ぐことにしたのだろう。
「『弓』を使います!」
夕凪の『薬』に、古賀の『弓』が打たれる。
古賀も、夕凪の『呪』のダメージ軽減のために手札を減らし始めたのだ。
「さらに、手札から『肉』を使います!」
自分が使った『弓』に、『肉』が続く。
「『囮』を使う」
夕凪の手札から、古賀が出した『肉』の効果を無効化し、さらに3点ライフを減らす『囮』のカードが切られた。
「『爆』を使います!」
夕凪の『囮』の効果を打ち消すため、古賀はすかさず『爆』を切った。
「『幸』を使う」
「『実』を使います!」
古賀の『爆』に対し、夕凪はライフ回復カードの『幸』を切り、便乗するかのように古賀もライフ回復カードの『実』を使う。
これで、古賀の手札は『盾』一枚だけになった。
「『宝』を使う」
夕凪は、最後に温存させていた『宝』を使った。これで、夕凪は手札
だが、『宝』の効果で二枚ドローできるので、使うタイミングが合うカードを引けば、場に出すことができる。
「カードの効果を順番に処理していく」
神宮寺はいったん、カウントを止めた。カードの効果処理には時間がかかるので、一分の制限時間では足りないのだ。
「効果が発動する順番は……」
①宝(夕凪)
②実(古賀)
③幸(夕凪)
④爆(古賀)
⑤囮(夕凪)
⑥肉(古賀)
⑦弓(古賀)
⑧薬(夕凪)
⑨封(古賀)
⑩呪(夕凪)
効果は、①から⑩へ、順番に発動する。
「まず、夕凪だ。『宝』の効果でカードを二枚ドローしろ」
「二枚ドロー」
夕凪が引いたカードは、
『
『
攻撃系カードの中で一番の火力を誇る『銃』と、ドロー補助系カードの『店』だった。どちらも、今すぐ使用できる効果のカードである。
「夕凪。どうする?」
神宮寺は効果処理を終えた『宝』をデッキの一番下へ入れた。カードをデッキ下へ送る作業は、効果発動の処理と同時に、神宮寺が行う。
「『銃』を使う」
「はい! 『盾』を使います!」
夕凪の攻撃を、古賀は最後の一枚で防ぐ。これで、古賀は手札が
「『店』を使う」
引いたばかりのカードを切り、夕凪も手札
互いに、もう一枚も出せるカードを持っていない。
改めて、神宮寺はカードの効果処理を始める。
「三枚のカードがチェーンした。したがって、効果発動の順番は……」
①店(夕凪)
②盾(古賀)
③銃(夕凪)
④実(古賀)
⑤幸(夕凪)
⑥爆(古賀)
⑦囮(夕凪)
⑧肉(古賀)
⑨弓(古賀)
⑩薬(夕凪)
⑪封(古賀)
⑫呪(夕凪)
効果発動の順番は、①から⑫へ。
「夕凪の『店』が一番最初だ。カードを引き、そのカードは使用されないまま、『店』カードのコストとしてゲームから取り除かれる」
「ドロー」
夕凪が引いた一枚は、
『
神宮寺は夕凪から『剣』を受け取り、テーブルの端に置いた。
ゲームから取り除かれたカードは、
『
この『蘇』の効果で再利用ができるので、取りやすい位置に除外しておく。
「続いて、古賀が使った『盾』が発動する」
古賀の『盾』は、夕凪が場に出した『銃』の効果を無効化する。よって、次に効果処理される『銃』で古賀はダメージを受けない。
「次は『実』だ」
古賀のライフが『実』の効果で1点回復。残りライフが、11点となった。
続いて、夕凪の『幸』が発動し、4点回復。夕凪の残りライフは、14点。
古賀の『爆』が夕凪の『囮』を破壊(無効化)。
夕凪の『囮』は『爆』で効果を消され、ただの紙切れと化した。
その後、古賀は『肉』で2点回復。残りライフ13点。
間髪入れずに、古賀の『弓』が発動。3点ダメージを受け、夕凪の残りライフは11点に減った。
しかし、夕凪の『薬』が発動する。夕凪は3点回復で、残りライフ14点。
次は古賀の『封』が発動するのだが……。
「夕凪さんの手札がないですね」
「使うタイミングは合っていた。イカサマではない。『封』は発動せず、手前の手札に戻る」
そして、最後に夕凪の『呪』が発動する。さっき手札に戻った古賀の『封』を除外し、枚数分の1点ダメージ。古賀は残りライフ12点。
場に出されたすべてのカードは、効果処理を終えた順からデッキの下に戻っていった。
「……何もありません。ターンエンドです」
夕凪、残りライフ14点。
古賀、残りライフ12点。
互いに手札
後攻プレイヤー、夕凪にターンが渡った。