クラゲが荒波にもまれるとこうなる

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映画ノベライズブログ（https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/12/10/120218）


　浮輪がないから沈む。

　水が私服を浸していく。



「マグニート―のくだりは、なんだったんだ！！」

「エックスメンＶＳストリートファイターのことでござろうな」

「そんなゲーム知らねぇ！！」



　言左衛門に言われて、そっちかと、いなくなった美雪にツッコむ。

　ストリートファイターのレギュラーメンバーじゃないからな！

　というか、今はどうでもいい！



「おっ、溺れる！」

「門平。何もせずに、水に身を委ねるでござるよ。暴れれば、暴れるほど沈むでござる」

「あっ、そうだな！」



　言左衛門の言うとおり、暴れるのをやめ、平常心を取り戻す。

　体が浮いてきた。

　あとは両足でゆるやかに操作してやればいい。

　水泳の授業を思い出せ。

　俺は、海になるんだ。

　言左衛門と海に身を任せる。



「ふう、次にどうしたらいい？」

「そうでござるな。人魚に乳首を吸われるのは経験してみたいでござるが、命には代えられないでござる。あそこのボートに向かって、助けを求めようぞ」

「ボートがいるのか！？」



　体を起こして海を見回すと、白いものが水面を浮いている。

　遠すぎる！

　手を振っても気づかれないんじゃないか？



「おおいっ！！」



　両手をおもいっきりふる。

　気づかれない。

　白いボートはどこかに行ってしまう。



「だめだ！」

「あきらめるのは早いでござる。船は１隻だけとはかぎらない……ふおっ！？」



　言左衛門がのけぞった。



「どうした！？」

「何かに刺されたでござる！　ふっ、ふおおおおおおおおっ！！」



　何かによって持ち上げられる言左衛門。

　体にびっちりと白い触手が絡まっている。

　海に、なんか魔物がいるんだけどっ！？

　ここ魔の海か！？



「いっ、いやあああああああああああああああっ！！」



　言左衛門の両手が後ろに回され、手が合わさり、足が強制的に水面で正座させられる。

　背面観音縛りかっ！？

　触手の主は、ＳＭ専門のプロか！？

　それずば抜けて痛いぞっ！

　肩が抜けるぞっ！



「門平……たっ、たすけ……」

「痛いのは嫌じゃ！　すまぬっ！」



　唯一泳げるクロールで逃げ出す。

　言左衛門は悲鳴ともいえない、快感と屈辱の雄たけびを上げていた。


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