第1の試練アヒルのおまる
文字数 2,792文字
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/11/29/094642)
門平善照は規則的な音を聞いていた。
それはテンポよく動いている。
両目を閉じているものの、はっきりと音が耳に入ってくる。
突然ブザーが鳴った。
飛び起きる。
見知らぬ部屋にいた。
壁に設置された蛍光灯が並んで点灯していく。
「うおっ!? おもっ!」
頭がガクンと前に倒れた。
何かが乗っている。
となりには、知っている学生がふたりいた。
美雪雪音と宮本言左衛門だ。
あとひとりは、アヒルのおまるがすっぽり顔を隠し、巨乳で落ちるのを止めているので、誰かわからない。
美雪は頭部についている、おまるを手でペタペタさわり、
「えっ!? 何!? どうなってんの!?」
「あれぇ!? 拙者、家で斬鉄剣の練習をしてたのに、なぜ!?」
言左衛門も意味がわからないといった感じだ。
「なんですかこれぇ! ぜんぜん見えないですぅ!」
あっ、声でわかった。
すっぽりおまるが頭部にはまっている女性は、リアナ恵子だ。
全員大学の友達だった。
アヒルのおまるには何か太いものがつながれている。
金属製の鎖だった。
ちょっとやそっと、ひっぱってもビクともしない。
それは前の壁までのびていた。
嫌な予感がビンビンする。
「誰か! 誰か助けて!」
「拙者の刀はどこじゃぁっ!」
「なんにも見えない! 闇しかないのぉ!」
友達はみんなパニックにおちいっている。
キーンと、スピーカーから不快な音が流れる。
全員黙った。
『ねえ、にいに、ねえね。どうしてここに連れてこられたのか、わかる?』
スピーカーからかわいらしい幼女の声が響いてきた。
みんな口を開かない。
頭が働いていない。
『わかんない? 萌美もわかんない。ねえ、何したの?』
いや、知らねぇよ。
逆にこっちが聞きたいんですけど。
誰かお母さん連れてきて!
『とりあえずゲームをするね! おまるに付いているランプが緑に点灯すると解放されるの! その方法はね……』
「どうすればいいんだ!」
『……う~ん。おしっこ行きたい』
プツッと、スピーカーから音声が切れた。
機械音がし、鎖が巻かれ始め、アヒルのおまると一緒に引きずられる。
壁際には、透明なぬめっとした液体が流れ始めた。
あの液体をモロかぶっちまう!
おしっこ我慢してっ!
「その方法はなんだぁっ! ぐおっ!?」
すごい力で鎖にひっぱられる。
踏ん張ってもだめだ。
物言わぬ機械に、人間ごときがかわうはずない!
美雪は鎖に引きずられながら、
「こうなったら奥義を発動するのよ!」
「奥義って何!?」
「生まれたてのぉぉぉぉぉぉっ、子鹿!!」
コンクリートの床を破壊して、両手を地面に突っ込んだ。
お尻を上に上げ、腰を曲げる。
お母さんのおなかから生まれ、立ち上がろうとしている子鹿を再現している。
「いや床破壊なんてできねぇよ!! どこで修行してた!?」
絶対にできない方法だった。
それでも、美雪は鎖に引かれている。
突っ込まれた強靱な両腕によって、床が破壊されていき、地盤沈下みたいになっていた。
鎖の力の方が強すぎる!
「野蛮な……拙者の仏の力を見るでござる」
言左衛門がおだやかなしゃべり方で、皆を諭す。
「おおっ……」
度肝を抜かれる。
言左衛門は座禅を組み、指で輪っかを作って、空中に浮いていた。
その姿はまるで仏。
すごい……確かにすごいけど……。
「空中に浮いてたら、スムーズに運ばれるだけだろうがっ!!」
言左衛門はなんの抵抗もなく鎖に連れ去られていく。
おまるのアヒルがアホ―と鳴いた。
「いやぁっ! 怖いよぉ! なんにも見えないよぉ!!」
リアナはだめだ。
おまるがすっぽり頭部にはまってるので、腕で体を抱いて、倒れたまま鎖に引きずられている。
胸がでかいだけじゃ、この罠から抜け出せない。
「私に力をぉぉぉぉぉぉっ!!」
「助けてぇ! 誰か! 見えないのぉ!」
「落ち着くでござる。皆死ぬのは一緒」
床を破壊し続ける美雪。
胸を抱いて転げ回るリアナ。
空中に浮き悟りを開いた言左衛門。
全員死ぬ!
「くそぉぉぉぉぉぉっ!! ……あれ?」
おまるを両手で持ち上げてみると、スポッと抜けた。
床に落とすと、アヒルが傾き、鎖に運ばれていく。
アヒルの感情のない目が、俺に別れを告げていた。
「みんなっ! このおまる、簡単に外れるぞ!!」
犯人の知能指数が低くて良かった。
ここまでの設備を作っておきながら、細かいところが抜けている。
完璧だったら、液体まみれになってた。
「えっ? マジ? あっ、ほんとだ!」
美雪の頭からすっぽりおまるが抜ける。
「なんと!」
言左衛門もおまるを頭から抜く。
髪の毛が一緒に抜けた。
えっ? カツラ?
「抜けない! 抜けないよぉ!」
顔まで漬かっているリアナは厳しいようだ。
美雪が手伝ってやろうと近づき、
「しょうがないわね。あっ? おっぱいでかいから抜けないわ。おまるがひっかかってる」
「きゃうっ!? もまないでっ!」
「こんなときに、何言ってんのよ? 男ども! 力強くもんでやるのよ!」
「いやああっ! 美雪ちゃんだけでやって! 強くやってもいいからっ!」
リアナが嫌がるので、俺と言左衛門は女たちの「きゃっきゃうふふ」をながめているだけになった。
リアナからおまるが外れ、無事天井から流れ落ちる液体をかわす。
液体をちょっとさわってなめてみると、飴の味がした。
これがかかっても死なないが、ベトベトにはなるので、さけられてよかった。
言左衛門は黙ってかぶっていたおまるに向かうと、取れた髪の毛を頭に装着。
俺とリアナ、美雪は見てないふりをしてあげる。
次の部屋の扉が開いた。
コンクリートから、藁が敷き詰められた、馬小屋のような所があらわれる。
おまるについた鎖は停止して転がっていた。
急にキコ、キコと、何かがこがれる音がする。
三輪車をこいでる、金髪の幼女人形がやってきた。
首から提げている名札には、『萌美』と書かれている。
聞いたことのない名前だ。
『にゃにゃにゃにゃにゃにゃ! にゃにゃにゃにゃにゃにゃ! にゃにゃ、クチュン、シュン……にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!』
録音だろうけど、幼女人形が猫笑いする。
ミスった箇所を直さないという雑っぷり。
声がかわいいから、どことなく許せてしまう。
人形の手にはMP3プレーヤーがあった。
手に取ってみると、ひらがなで汚い文字が書かれている、紙がはってある。
『ぷれいやぁ、まみぃ』
再生しろってことか? いちいちかわいいな!
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門平善照は規則的な音を聞いていた。
それはテンポよく動いている。
両目を閉じているものの、はっきりと音が耳に入ってくる。
突然ブザーが鳴った。
飛び起きる。
見知らぬ部屋にいた。
壁に設置された蛍光灯が並んで点灯していく。
「うおっ!? おもっ!」
頭がガクンと前に倒れた。
何かが乗っている。
となりには、知っている学生がふたりいた。
美雪雪音と宮本言左衛門だ。
あとひとりは、アヒルのおまるがすっぽり顔を隠し、巨乳で落ちるのを止めているので、誰かわからない。
美雪は頭部についている、おまるを手でペタペタさわり、
「えっ!? 何!? どうなってんの!?」
「あれぇ!? 拙者、家で斬鉄剣の練習をしてたのに、なぜ!?」
言左衛門も意味がわからないといった感じだ。
「なんですかこれぇ! ぜんぜん見えないですぅ!」
あっ、声でわかった。
すっぽりおまるが頭部にはまっている女性は、リアナ恵子だ。
全員大学の友達だった。
アヒルのおまるには何か太いものがつながれている。
金属製の鎖だった。
ちょっとやそっと、ひっぱってもビクともしない。
それは前の壁までのびていた。
嫌な予感がビンビンする。
「誰か! 誰か助けて!」
「拙者の刀はどこじゃぁっ!」
「なんにも見えない! 闇しかないのぉ!」
友達はみんなパニックにおちいっている。
キーンと、スピーカーから不快な音が流れる。
全員黙った。
『ねえ、にいに、ねえね。どうしてここに連れてこられたのか、わかる?』
スピーカーからかわいらしい幼女の声が響いてきた。
みんな口を開かない。
頭が働いていない。
『わかんない? 萌美もわかんない。ねえ、何したの?』
いや、知らねぇよ。
逆にこっちが聞きたいんですけど。
誰かお母さん連れてきて!
『とりあえずゲームをするね! おまるに付いているランプが緑に点灯すると解放されるの! その方法はね……』
「どうすればいいんだ!」
『……う~ん。おしっこ行きたい』
プツッと、スピーカーから音声が切れた。
機械音がし、鎖が巻かれ始め、アヒルのおまると一緒に引きずられる。
壁際には、透明なぬめっとした液体が流れ始めた。
あの液体をモロかぶっちまう!
おしっこ我慢してっ!
「その方法はなんだぁっ! ぐおっ!?」
すごい力で鎖にひっぱられる。
踏ん張ってもだめだ。
物言わぬ機械に、人間ごときがかわうはずない!
美雪は鎖に引きずられながら、
「こうなったら奥義を発動するのよ!」
「奥義って何!?」
「生まれたてのぉぉぉぉぉぉっ、子鹿!!」
コンクリートの床を破壊して、両手を地面に突っ込んだ。
お尻を上に上げ、腰を曲げる。
お母さんのおなかから生まれ、立ち上がろうとしている子鹿を再現している。
「いや床破壊なんてできねぇよ!! どこで修行してた!?」
絶対にできない方法だった。
それでも、美雪は鎖に引かれている。
突っ込まれた強靱な両腕によって、床が破壊されていき、地盤沈下みたいになっていた。
鎖の力の方が強すぎる!
「野蛮な……拙者の仏の力を見るでござる」
言左衛門がおだやかなしゃべり方で、皆を諭す。
「おおっ……」
度肝を抜かれる。
言左衛門は座禅を組み、指で輪っかを作って、空中に浮いていた。
その姿はまるで仏。
すごい……確かにすごいけど……。
「空中に浮いてたら、スムーズに運ばれるだけだろうがっ!!」
言左衛門はなんの抵抗もなく鎖に連れ去られていく。
おまるのアヒルがアホ―と鳴いた。
「いやぁっ! 怖いよぉ! なんにも見えないよぉ!!」
リアナはだめだ。
おまるがすっぽり頭部にはまってるので、腕で体を抱いて、倒れたまま鎖に引きずられている。
胸がでかいだけじゃ、この罠から抜け出せない。
「私に力をぉぉぉぉぉぉっ!!」
「助けてぇ! 誰か! 見えないのぉ!」
「落ち着くでござる。皆死ぬのは一緒」
床を破壊し続ける美雪。
胸を抱いて転げ回るリアナ。
空中に浮き悟りを開いた言左衛門。
全員死ぬ!
「くそぉぉぉぉぉぉっ!! ……あれ?」
おまるを両手で持ち上げてみると、スポッと抜けた。
床に落とすと、アヒルが傾き、鎖に運ばれていく。
アヒルの感情のない目が、俺に別れを告げていた。
「みんなっ! このおまる、簡単に外れるぞ!!」
犯人の知能指数が低くて良かった。
ここまでの設備を作っておきながら、細かいところが抜けている。
完璧だったら、液体まみれになってた。
「えっ? マジ? あっ、ほんとだ!」
美雪の頭からすっぽりおまるが抜ける。
「なんと!」
言左衛門もおまるを頭から抜く。
髪の毛が一緒に抜けた。
えっ? カツラ?
「抜けない! 抜けないよぉ!」
顔まで漬かっているリアナは厳しいようだ。
美雪が手伝ってやろうと近づき、
「しょうがないわね。あっ? おっぱいでかいから抜けないわ。おまるがひっかかってる」
「きゃうっ!? もまないでっ!」
「こんなときに、何言ってんのよ? 男ども! 力強くもんでやるのよ!」
「いやああっ! 美雪ちゃんだけでやって! 強くやってもいいからっ!」
リアナが嫌がるので、俺と言左衛門は女たちの「きゃっきゃうふふ」をながめているだけになった。
リアナからおまるが外れ、無事天井から流れ落ちる液体をかわす。
液体をちょっとさわってなめてみると、飴の味がした。
これがかかっても死なないが、ベトベトにはなるので、さけられてよかった。
言左衛門は黙ってかぶっていたおまるに向かうと、取れた髪の毛を頭に装着。
俺とリアナ、美雪は見てないふりをしてあげる。
次の部屋の扉が開いた。
コンクリートから、藁が敷き詰められた、馬小屋のような所があらわれる。
おまるについた鎖は停止して転がっていた。
急にキコ、キコと、何かがこがれる音がする。
三輪車をこいでる、金髪の幼女人形がやってきた。
首から提げている名札には、『萌美』と書かれている。
聞いたことのない名前だ。
『にゃにゃにゃにゃにゃにゃ! にゃにゃにゃにゃにゃにゃ! にゃにゃ、クチュン、シュン……にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!』
録音だろうけど、幼女人形が猫笑いする。
ミスった箇所を直さないという雑っぷり。
声がかわいいから、どことなく許せてしまう。
人形の手にはMP3プレーヤーがあった。
手に取ってみると、ひらがなで汚い文字が書かれている、紙がはってある。
『ぷれいやぁ、まみぃ』
再生しろってことか? いちいちかわいいな!
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。