妖精との戦い

文字数 1,154文字

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映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/09/142550)


 突然土がはじけた。

 何?

 看板に何かがめり込んでいる。

 玉のようなもの、キャンディーだ。



「きゃっ!?」



 銃弾のようなキャンディーが次々と襲ってくる。

 身をひるがえし、山の斜面をくだっていく。

 石を持ち、草むらに身を隠した。

 見上げると、ガスマスクをかぶった幼女が、おもちゃのピストルを持って立っていた。

 あれで、私にキャンディーを食べさせるつもりなのね。

 近づいてきたら、石でドタマをかち割ってやろうと思ったけど、危険を察知したのか、妖精さんはどこかに行ってしまった。

 ほっとし、場所を確認してみる。

 妖精の国は肌色の山ばかりで、緑の草はあまり生い茂っていない。

 磔(はりつけ)にされた人間たちが並んでいた。

 妖精の国に迷い込み、やつにやられてしまったあわれな人たち。

 お尻に棒付きキャンディーが刺さっていて、犬や猫の尻尾のような状態になっている。

 男女ともに成人だ。

 妖精の芸術的センスをうたがいつつ先に進むと、女性が木の陰に倒れていた。



「大丈夫……うっ!? ……ひどい」



 口の中にペロペロキャンディーを十本も突っ込まれている。

 半目を開けて、死んでいるかのように動かない。

 糖分が血液に循環し、ショック死したのかしら?

 トスッと、女性の額に棒付きキャンディーが刺さった。

 悲鳴を上げて逃げる。



「あぐっ!?」



 腕に棒付きキャンディーが刺さった。

 その場に倒れる。

 ガスマスクをかぶった妖精さんがやってくる。

 萌美はライフルを引きずってやってきた。

 私に銃口を向ける気配がする。

 死ぬのかしら、私。

 駄菓子屋のおばあちゃん、百円盗んでごめんね。



「あうちっ!?」



 お尻に棒付きキャンディーが刺さったいきおいで、跳ね上がって、肘を萌美にくらわした。



「きゃっ!?」



 かわいらしい声を発して、倒れる萌美。

 チャンスだ。

 ライフルを取り上げ、少女に向ける。

 少女はうるうるとした瞳で、私に助けをこびている。



「もう悪いことはしない?」

「うん。萌美、もう悪いことはしないから。許してお姉ちゃん」

「いいわ。許してあげる……だなんて言うと思ったのか、ゴラアァ!!」



 引き金を引いて、萌美の額に棒付きキャンディーを突き立ててやった。

 終わった。

 唾を吐きつけ、私は出口を目指して歩き出した。

 途中、赤いテントウムシと戯れる。

 ファンタジックな気分になっていると、男性の助けを呼ぶ声が聞こえてきた。


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