誘拐された先は妖精の国

文字数 1,254文字

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映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/08/085638)


 美雪雪音は車で連れ去られていた。

 運転しているのは万引犯だ。

 警察に追われ逃げている。

 万引犯には相棒がいたのだけど、不眠症を訴えたので、車から下ろされて山の中で睡眠中だ。

 美雪は意を決して、



「下ろして! 家に帰して!」

「悪いけどそうはいかねぇよ。俺たちが万引したところを見たんだからな!」

「誰にも言わないから! あなたたちが駄菓子屋で十円のガムを盗んだの、友達と女子会に行って話題にしてやろうとか思ってないから!」

「笑いものにする気だったんだな! なんだかチクショウ!」



 男は車のハンドルをたたく。

 ついてない。

 たまたま駄菓子屋にいって、五円チョコについておばあちゃんと語り合っていたら、万引犯がやってきて、十円のお菓子を盗まれた。

 あそこで爆笑しなかったら。銀行行けよってツッコまなかったら。

 後悔しかない。

 突然車がガタンと揺れた。

 万引犯があわててブレーキをかける。



「なんなんだ? チクショウ!」



 万引犯が車から出る。

 私は手錠すらされていないので、普通に逃げられたんだけど、ショックですっかり忘れてた。

 万引犯は手に棒付きキャンディーを持ち、



「なんだこれ? タイヤに刺さって、おうっ!?」



 後頭部に棒付きキャンディーが刺さった。

 万引犯が倒れる。

 私はパニックを起こし、悲鳴を上げた。

 車内で暴れていると、ひょっこり小柄な少女があらわれた。



「あっあなたは?」

「私は萌美です。お姉さんの名前は?」

「みっ美雪雪音」

「へぇ~。お姉ちゃん知らないの? ここは妖精の国なんだよ? 入ったら、キャンディーを食べなきゃいけないんだよ」

「えっ? 今糖質ダイエット中だから、キャンディーはちょっと……」

「えいっ!」



 萌美がのっかってきた。

 何この子、かわいい。

 そう思っていると、



「ふごっ!?」



 いきなり棒付きキャンディーを口に突っ込んできた。

 暴れるけど、萌美は異常な押さえつけをかましてきて、力はゴリラ並みだった。

 マジで人間じゃねぇ!!

 意識が遠くなっていき、途絶える。



 意識が戻ったときは、私は見知らぬ山に捨てられていた。

 太陽はまだ昇っている。

 となりには、手錠でつながれた、万引犯がいる。

 万引犯は裸で、アソコは棒付きキャンディーだった。

 悲鳴を上げて、私は石を手に取り、手錠の鎖を壊した。

 裸の男をおいておいて、山をふらふら歩き回る。

 なぜか看板の下に、机があって、レコードが置いてあった。

 看板には『これ押してちょっ!』と、下手くそなウサギの絵とともに描かれている。

 レコードをかけてみる。

 設置されたスピーカーから、サイレンが鳴り響いた。

 いったい何が始まるのか。


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