その肉体はとても激しい
文字数 2,285文字
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/11/18/084511)
門平は大学の講義室で、自然エネルギーの授業を受けていた。
クチャクチャと、ガムをかんでいるやつがいる。
だけど誰も注意しない。
いや、できないのだ。
そいつはスカートをはいて、ムキムキな股間とでかい下着をみんなに見せつけ、両足を机に置いていた。
普段は態度の悪い学生を注意する教授も、おびえて何も言えないようだ。
ライオンのように髪をボサボサにし、背丈は三メートル以上はある。
太すぎる肉体を持つそいつは、性別男ではない。
女なのだ。
野太い腕を広げ机にもたれ、膨らみのあった乳房は脂肪から硬い筋肉に変わる。
これがあの、美雪雪音だと誰が思うだろう。
「えっええ~と。地中から取り出した水蒸気でタービンを回し、エネルギーに変換する技術をなんて言うか……」
「おろかものがっ!!」
「ひいっ! すみませんっ!」
「地熱発電だろうが」
「せっ正解~」
教授がビクつきながら○を作った。
この筋肉女、頭までは筋肉に支配されていないのだ。
教授の出す課題を百点満点で返してくる。
リポートも完璧。マッチョイコール頭悪そうというイメージを覆した。
美雪がこうなったのは、あの賞味期限切れのカップラーメンを食べたあとだ。
突然肉体がモリモリ盛り上がり、メスからオスへと変貌した。
リアナが「いやああああっ! ハ○クに変身してるのよっ!!」と、興奮しまくっていた。
マッチョの怪人となった美雪は、「ふぅ。眠いぜ」と言って、自宅に帰っていく。
ポカンと見送って、夢かと思っていたら、きつい現実が待っていた。
大学の食堂で、美雪はどこからか牛一頭の丸焼きを皿にのせ、肉を食いちぎっている。
俺、言左衛門、リアナは、一緒のテーブルに座っているものの、自分たちの食事に手をのばすことができなかった。
牛の腸をすする彼女を見ていると、おなかいっぱいである。
リアナが胸の前で両手をにぎり、
「美雪ちゃん。私、賞味期限切れのカップラーメンを食べるわ」
「はっ!?」
「私、ママにトレジャーハンターになれって言われてるの! 肉体俳優にならなきゃいけないのよ!」
「おかしいおかしい! いやっ! 君じゃなくってママがっ!」
ミスコンの優勝者がマッチョな男性に性転換したいと言ってるようなものだ。
損失が激しすぎる。
君は今のままで十分だ!
「拙者もしたいでござる」
「かってにしろよ!」
「えっ? 門平君? 拙者には冷たい……」
指をくわえる言左衛門を無視して、必死でリアナを説得した。
その巨乳を失うのは、人類の発展を阻害してしまう。
君は美雪みたいな平凡な女じゃないんだ!
美雪が立ち上がり、俺の腕をつかみ、
「貴様が決めることではない! 動物とて生まれてから数日で自立できるのだ! このたわけがっ!」
「はげしぃぃぃぃっ!」
腕を逆方向に折り曲げられた。
人間と動物は違うだろというツッコみは怖くてできない。
説得失敗。
リアナは大学の地下二階で賞味期限切れのラーメンを食べ、おぞましい怪物へと変貌してしまった。
言左衛門もカップラーメンを食べ、全身から毛が生えてゴリラになった。
俺は地下から逃げだそうとしたが、三人の怪物に捕まり、おもちゃのようにもてあそばれたあと、美雪の住む賃貸マンションに連れていかれる。
美雪は壁を拳で破壊し、住んでいた格闘家たちと戦い始める。
背中の筋肉が『おたふく』の顔をしていた。
酒をグビグビ飲み、液体をたれ流しながら、臭い息を吐いた。
言左衛門とリアナも暴れ、マンションの壁は穴だらけとなった。
俺は彼らに捕らわれているふりをし、助けを呼び続けるが、警察がきたので黙って逃げ出した。
パトカーが空中で回転し、銃声と悲鳴が空に上がる。
俺は両手で耳をふさいで、闇の中に身を隠していった。
*
美雪は「ぐごっ!」と鼻息を鳴らして起きた。
アルコールが足りない。
寒いと思ったら、廃虚と化したマンションで寝ていた。
「門平! 酒だ!」
唐変木からの返事がない。
歯をギリッとかみしめ、立ち上がる。
天井からコンクリートが落ちてきて、床に穴があいている。
ったく誰だ? こんな所に俺を連れてきたのは?
イラつき、髪の毛をゴシゴシ手でかきながら、はだしで廃虚を歩き回る。
風が髪の毛をそよがせる。
端に、冷蔵庫が置いてあった。
「あん?」
座り込んで、冷蔵庫を見る。
ワンドアタイプのやつで、冷凍庫がない。
開けてみると、一個だけ、小さな何かが置いてある。
プリンだ。
カラメルソースを見ればわかる。
冷風のせいか、背中がぶるっと震える。
「こいつは……まさか!」
「萌美のプッチンプリン食べたでしょ!」
「なっ!? ぐわぁ!?」
すさまじい力でぶっ飛ばされ、闇へと吸い込まれた。
身体が回転し目に映ったものは、私の妹。萌美。
涙目で私をにらんでいる。
息つく間もなく、マンションの一階まで落下。
「ぐはっ!」
全身に痛みが入り、アスファルト舗装がヘコんだ。
萌美はぷくっと頬をふくらませて、私を見下ろしている。
かわいらしさに頬がゆるむ。
「……違うの……コンビニ限定だったから……つい食してしまったの」
虫の息で言い訳を述べる。
光景がグワンと揺れた。
そのまま意識を失った。
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門平は大学の講義室で、自然エネルギーの授業を受けていた。
クチャクチャと、ガムをかんでいるやつがいる。
だけど誰も注意しない。
いや、できないのだ。
そいつはスカートをはいて、ムキムキな股間とでかい下着をみんなに見せつけ、両足を机に置いていた。
普段は態度の悪い学生を注意する教授も、おびえて何も言えないようだ。
ライオンのように髪をボサボサにし、背丈は三メートル以上はある。
太すぎる肉体を持つそいつは、性別男ではない。
女なのだ。
野太い腕を広げ机にもたれ、膨らみのあった乳房は脂肪から硬い筋肉に変わる。
これがあの、美雪雪音だと誰が思うだろう。
「えっええ~と。地中から取り出した水蒸気でタービンを回し、エネルギーに変換する技術をなんて言うか……」
「おろかものがっ!!」
「ひいっ! すみませんっ!」
「地熱発電だろうが」
「せっ正解~」
教授がビクつきながら○を作った。
この筋肉女、頭までは筋肉に支配されていないのだ。
教授の出す課題を百点満点で返してくる。
リポートも完璧。マッチョイコール頭悪そうというイメージを覆した。
美雪がこうなったのは、あの賞味期限切れのカップラーメンを食べたあとだ。
突然肉体がモリモリ盛り上がり、メスからオスへと変貌した。
リアナが「いやああああっ! ハ○クに変身してるのよっ!!」と、興奮しまくっていた。
マッチョの怪人となった美雪は、「ふぅ。眠いぜ」と言って、自宅に帰っていく。
ポカンと見送って、夢かと思っていたら、きつい現実が待っていた。
大学の食堂で、美雪はどこからか牛一頭の丸焼きを皿にのせ、肉を食いちぎっている。
俺、言左衛門、リアナは、一緒のテーブルに座っているものの、自分たちの食事に手をのばすことができなかった。
牛の腸をすする彼女を見ていると、おなかいっぱいである。
リアナが胸の前で両手をにぎり、
「美雪ちゃん。私、賞味期限切れのカップラーメンを食べるわ」
「はっ!?」
「私、ママにトレジャーハンターになれって言われてるの! 肉体俳優にならなきゃいけないのよ!」
「おかしいおかしい! いやっ! 君じゃなくってママがっ!」
ミスコンの優勝者がマッチョな男性に性転換したいと言ってるようなものだ。
損失が激しすぎる。
君は今のままで十分だ!
「拙者もしたいでござる」
「かってにしろよ!」
「えっ? 門平君? 拙者には冷たい……」
指をくわえる言左衛門を無視して、必死でリアナを説得した。
その巨乳を失うのは、人類の発展を阻害してしまう。
君は美雪みたいな平凡な女じゃないんだ!
美雪が立ち上がり、俺の腕をつかみ、
「貴様が決めることではない! 動物とて生まれてから数日で自立できるのだ! このたわけがっ!」
「はげしぃぃぃぃっ!」
腕を逆方向に折り曲げられた。
人間と動物は違うだろというツッコみは怖くてできない。
説得失敗。
リアナは大学の地下二階で賞味期限切れのラーメンを食べ、おぞましい怪物へと変貌してしまった。
言左衛門もカップラーメンを食べ、全身から毛が生えてゴリラになった。
俺は地下から逃げだそうとしたが、三人の怪物に捕まり、おもちゃのようにもてあそばれたあと、美雪の住む賃貸マンションに連れていかれる。
美雪は壁を拳で破壊し、住んでいた格闘家たちと戦い始める。
背中の筋肉が『おたふく』の顔をしていた。
酒をグビグビ飲み、液体をたれ流しながら、臭い息を吐いた。
言左衛門とリアナも暴れ、マンションの壁は穴だらけとなった。
俺は彼らに捕らわれているふりをし、助けを呼び続けるが、警察がきたので黙って逃げ出した。
パトカーが空中で回転し、銃声と悲鳴が空に上がる。
俺は両手で耳をふさいで、闇の中に身を隠していった。
*
美雪は「ぐごっ!」と鼻息を鳴らして起きた。
アルコールが足りない。
寒いと思ったら、廃虚と化したマンションで寝ていた。
「門平! 酒だ!」
唐変木からの返事がない。
歯をギリッとかみしめ、立ち上がる。
天井からコンクリートが落ちてきて、床に穴があいている。
ったく誰だ? こんな所に俺を連れてきたのは?
イラつき、髪の毛をゴシゴシ手でかきながら、はだしで廃虚を歩き回る。
風が髪の毛をそよがせる。
端に、冷蔵庫が置いてあった。
「あん?」
座り込んで、冷蔵庫を見る。
ワンドアタイプのやつで、冷凍庫がない。
開けてみると、一個だけ、小さな何かが置いてある。
プリンだ。
カラメルソースを見ればわかる。
冷風のせいか、背中がぶるっと震える。
「こいつは……まさか!」
「萌美のプッチンプリン食べたでしょ!」
「なっ!? ぐわぁ!?」
すさまじい力でぶっ飛ばされ、闇へと吸い込まれた。
身体が回転し目に映ったものは、私の妹。萌美。
涙目で私をにらんでいる。
息つく間もなく、マンションの一階まで落下。
「ぐはっ!」
全身に痛みが入り、アスファルト舗装がヘコんだ。
萌美はぷくっと頬をふくらませて、私を見下ろしている。
かわいらしさに頬がゆるむ。
「……違うの……コンビニ限定だったから……つい食してしまったの」
虫の息で言い訳を述べる。
光景がグワンと揺れた。
そのまま意識を失った。
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