ぬるぬる幼女の強襲

文字数 1,760文字

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映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/093028)


 リアナは着陸船に搭乗していたのか?

 一緒につけておいた戦闘員はどうなった?

 美雪はヨダレを服の袖でふき、



「あの女、戦闘員と――踊り狂ってるようね」

「たぶん違うと思います。着陸船に向かいましょう」



 人間のこういう性を冗談にするところは嫌いだ。

 森を抜け、着陸船に到着する。

 船は大爆発を起こし、炎が空へと舞い上がっていた。

 美雪はあぜんとし、



「そんな……リアナ……あとその他の人たち……」

「あっ、ガスの元栓しめ忘れたわ。めんごめんご」



 隊長が後頭部を手でかき、とんでもないことを告白する。



「あっあんた!」美雪は隊長の胸ぐらをつかみ、

「人が死んでるのよ! 今日彼女に借りた一万円返そうと思ってたのに!」

「私生きてますよぉ~」



 リアナが湖から泥だらけで出てきた。

 あっ、生きてた。

 人間は意外としぶとい。



「今すぐ死亡届を地球に送るのよ! 彼女の両親にも連絡して! 借金はしてないってね!」

「生きてるって言ってるじゃないぃ。あと一万円返してくださいぃ」



 美雪は頑として、リアナのほうを見ようとはしなかった。



「大変だ! 戦闘員がけいれんしてるぞ!」



 男性の戦闘員のひとりが、立ったまま、ガクガクとけいれんし始める。

 口から液体を吐き出し、激しく暴れ始めた。

 他の戦闘員が押さえつける。

 美雪は顔の前で手をあおぐと、



「何二日酔い? あっちでゲロしてきなさいよ」



 嫌な顔を前面に出す。

 いや、どう見ても、二日酔いの症状じゃないだろ。

 ツッコみが喉まで出かかったとき、



「にゃあああああああああっ!」



 暴れていた戦闘員の口から、ねばっこい液体にまみれた幼女が出てきた。

 頭の上に二つの猫耳が、ピコピコ動いている。

 お尻には尻尾までついていた。

 皆ポカンとした。

 女の戦闘員が銃を下ろして近づき、



「やだかわいい。どうしたの? 迷子?」

「だっだめです! あれが出てきて着陸船を爆発させたんです!」

「えっ? きゃああああああああっ!」



 リアナの忠告が届いたと同時に、幼女が女の戦闘員に抱きつく。



「いやあぁっ! ぬるぬるするぅ!」



 女の戦闘員はぬるぬるのなか、死亡。



「エイリアンだわ! 撃って! ぶっ殺すのよ!」



 口より先に、美雪が銃を撃ちまくる。



「にゃ! にゃ! しゃっ!」



 幼女エイリアンは、弾を素早くかわすと、ぬるぬるした液体を男性戦闘員にふきつける。



「ぎゃっ! ぬるぬるするぅ!」



 戦闘員死亡。

 なんというひ弱さ。人間はそんなことで死ぬのか。

 追いつめられたとき、光の弾が夜空をおおった。

 照明弾か?

 いや、これは、マタタビの匂い?



「にゃっ!? にゃううううっ!」



 幼女エイリアンは地面を転がってどこかに向かう。

 車のタイヤみたいだ。高速道路か?

 黒いローブをかぶった男が照明弾の銃を下ろし、



「ついてこい!」



 きびすを返し、俺たちを案内した。

 ついていくと、巨大な神殿があらわれた。

 周りには廃墟と化した街がある。



「なんなの? ここ?」



 美雪が銃のサーチライトを照らしながら言う。

 神殿内部には、黒い死体の山があった。

 腕を振り上げていたり、立っていたり、さまざまな格好で死んでいる。

 人間にしてはでかい。

 美雪は顔を手にやり、ちょっと笑い、



「ぷっ! みんな日焼けしすぎよ。焦げてるじゃない」

「日焼けでこうはならないと思いますけどぉ」

「サンオイル忘れたのかしら?」

「そういう問題じゃないと思いますぅ」



 泥まみれのリアナの存在は頑固無視だ。

 お金を返したくないのか。

 黒いローブの男は建物内に入った。

 壁は人の巨大な顔が並んでおり、人の背丈を超えていた。

 銅像だからいいものの、生ものだったらホラーだ。

 男は石のテーブル近くまで行き、照明銃を置く。



「――責任者は誰ですか?」



 ローブを取った顔つきを見て驚いた。

 アンドロイドの門平善照が立っている。

 つまり、俺だ。

 髪の毛は鶏のトサカのようなモヒカンだった。


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