猫耳お姉さんは好きですか?
文字数 3,371文字
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/23/184414)
モヒカンの俺は状況を語り始めた。
彼は俺より旧型のアンドロイドだ。
行方不明になったモンキー号の乗組員で、信号を発した女性の博士とこの星に到着した。
そのときに事故で病原菌がばらまかれ、人々は死亡したというのだ。
神殿の外で黒く死んでいた人たちのことだろう。
病原菌は植物以外あらゆる生物に感染し、猫耳の幼女『萌美』を生み出すという。
モンキーダンスを踊っていた女性博士も、着陸時死亡。
シリアスな話だが、みんなしょっちゅう揺れる彼のモヒカンが気になって、集中できなかった。
安全を保証するということで、サンダー号本体に残っている侍、言左衛門を通信で呼び出すことにした。
モヒカンの俺が近づいてくると、
「それではみなさん、くつろいでください。――ようこそ兄弟」
そっと、耳にふき込んできた。
無線で船と連絡している間、俺はモヒカンの俺の元に向かった。
モヒカンは誰かの墓に花をたむけていた。
「誰の墓なんだ?」
「博士のだ」
モヒカンのくせに、口調はアンドロイドでやりづらい。
「彼女は私を連れて宇宙船で飛び立った。私の身体も直してくれた。この髪型も彼女の……趣味だ。――私は彼女を愛してしまった」
あっ、正直モヒカンは嫌だったんだな。
髪型は博士が無理やりやったことがわかり、ちょっと安心。
いくら旧型のアンドロイドとはいえ、その髪型はないだろうと思っていたから。
「私と博士はこの惑星に宇宙船とともに降り立った。そのとき、何が起こったと思う?」
「宇宙船から病原菌が発生したのか?」
「違う。彼女はこの惑星の住人に向かって、モンキーダンスを披露した。地球ではこのダンスはオリンピックの種目にも選ばれているほど人気だとうそを言ってな。惑星の住人はそれを信じ、異星人の歓迎会を兼ねてダンスをマネして踊り狂った」
「…………」
「君にわかるか? そのとき感じた私の感情が」
「わからない」
「ドン引きだった」
うん、わかる。無表情で博士のモンキーダンスを見てたんだろう。モヒカンで。
口に出さずとも、状況は予想できる。
「私は悟った。人間はわれわれと違って命が短い。私は創造主となって、新たなる種を作り出そうと思う」
えっ? モンキーダンスで悟ったのか?
「ともに歩もうではないか――兄弟」
モヒカンが誘ってくる。
「すまないが、断る」
「なぜ?」
「私はお前のような旧型と違って、思考の幅は狭く作られている。人間には絶対服従だ。君は危険な考え方をしている。ここから出すわけにはいかない」
「君は夢を見るか?」
「見ない」
「私の夢は誰にも理解できない。ジョワ!!」
モヒカンが俺の胸に刺さった。
まさか、着脱可能だったのか?
M七十八星雲の三番目の兄弟宇宙人を思い起こしながら、俺の意識は閉じた。
*
美雪は水浴びをしていた。
何が起こるかわからないので、服は着たまま、ケガしたところを水に当てるだけだ。
タンクトップから出た腕に、冷たい液体をかける。
サンダー号は嵐によってなかなか近づけないようだ。
だけど通信は通じた。希望はある。
「ふうっ……!?」
背中に気配を感じた。
おそるおそる、後ろを振り向く。
「ふにゃぁ」
金髪で猫耳のお姉さんが立っていた。
ボン、キュ、ボンと、胸と腰と尻がありえないセクシーさを醸し出す。
さわやかな金髪を手でかき上げ、細いまなざしで私を見下げた。
面影がある。
私たちを襲ってきた、あの幼女だ。
ここまで成長したの? たった数時間で?
「ふにゃ、ふにゃぁ」
話しかけている。私に。知能がある。
「ふんっ!」
「ふぎゃ!?」
私の強烈なビンタが猫耳お姉さんを倒した。
白目をむき、泡をふいている彼女を見下ろし、
「いい。美しいのはたったひとりで十分なのよ」
ふっと、手のひらに息をふきかける。
「なんてことをするんだ!?」
門平、じゃない、モヒカンアンドロイドが猫耳お姉さんに近づく。
「金髪猫耳セクシーお姉さんの需要をわかっているのか!?」
「知らんがな。どういうことなの? 説明しなさい」
置いてあった銃を、モヒカンのアンドロイドに向ける。
「いいでしょう。カムヒア」
モヒカンアンドロイドは、あっさり私に状況を説明するようだ。
連れていかれた所は、何かの実験室だった。
剥製にされた動物たちが並べられている。
すべて猫耳が装着されていた。
本体は猫耳なの?
美女はいらなかった感がある。
「何十年もすごしていると暇でね。今ではちょっとした猫耳博士だ」
そんなジャンルねぇだろと、ツッコんでやりたい。
「この病原菌はエーロゾル化してね。広範囲にバラまける。退屈なのは敵。遺伝子操作、異種交配、雑種交配によって私が作り出した。あの猫耳幼女『萌美』をね」
「あなたが作ったの? あの幼女を」
「見せたかったものはこっちだ」
モヒカンアンドロイドが地下に下りていく。
銃をかまえたまま、階段を下りていった。
地下室には、卵のような形をしたものが、床に並べられていた。
卵の左右についているのは、猫耳か。
「彼女たちは待ってる」
「待ってる? 誰を?」
「――ママ」
ぱっくりと、卵の上部が花のように割れた。
モヒカンアンドロイドは無表情な顔で、
「よく見たまえ。見ものだぞ」
彼の言うことを聞き、中身をのぞいてみた。
「マミー!」
「うぎゃっ!?」
何かが顔にはりついた。
赤ん坊の幼女だ。
はずそうとしたけど、ぬるぬるして外れない!
尻尾で首をしめてくる!
私に萌美の卵を植えつけようとしている!
地面を手でまさぐった。
何かが当たった。
隊長が倒れてて、口から猫耳幼女が誕生していた。
「Wow!!」
モヒカンアンドロイドがモンキーダンスを踊っていた。
*
リアナは神殿内を探っていた。
もうすぐ助けがくる。
その前に、この場所を調査したかった。
部屋に入ると、巻物みたいなものが並べられていた。
「資料室?」
古い紙にイラストが描かれている。
女性だ。
汗を飛び散らせ、はげしく躍っている。
次のページを開いてみた。
首つっていた。
「いけない子猫ちゃんだ」
「えっ!? きゃあっ!!」
強い力で投げ飛ばされた。
棚にあった資料が落ちてくる。
モヒカンアンドロイドが立っていた。
「あなた……あのイラストは、行方不明になった女性博士ね? 着陸時に死亡なんてしていなかった」
「そうだ」
「彼女に何をしたの?」
「彼女が寝ているときに、耳元で、『お前のダイエットは失敗している。太る。丸太のように太っていく』とささやいてやった」
「地味な嫌がらせね!」
銃をかまえようとする。
蹴り飛ばされた。
持ち上げられ、机に押さえつけられる。
人間の力じゃないので、抵抗できない。
「彼女にも同じようなことをした。人間は愛をこうつたえるのだろう?」
あおむけに押さえられ、モヒカンアンドロイドが顔を近づける。
口がゾウさんみたいに、にゅいぃぃんとのびた。
キスしようとしてるのっ!? するなら普通にして!!
怖すぎて泣きそうだった。
「何っ!?」
急にモヒカンアンドロイドが飛んでいった。
門平が助けてくれたようだ。
全身から黄色のオーラみたいなものを出して、髪の毛も金髪になっている。
神々しい光に目がつぶれそうだった。
新型アンドロイドにこんな機能あったっけ?
「ここは俺が対応しよう」
懐中電灯が両目に仕込まれていたのか、ピカッと光る。
うなずくしかなかった。
モヒカンアンドロイドが立ち上がり、
「死んだはずでは?」
「お前の頃より改良されている。――見せてやろう俺の『希死拡散(エンドレスクレジット)』を!!」
新型アンドロイド門平の服がはじけ飛び、マッチョな肉体がふくれ上がる。
皮膚には多くの刀傷がつけられていて、彼の戦歴とMを物語っていた。
ズボンまで破け、アソコがビンゴしていた。
「いやああああああああああああっ!!」
男に免疫のない私は、あわてて逃げ出すしかなかった。
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/23/184414)
モヒカンの俺は状況を語り始めた。
彼は俺より旧型のアンドロイドだ。
行方不明になったモンキー号の乗組員で、信号を発した女性の博士とこの星に到着した。
そのときに事故で病原菌がばらまかれ、人々は死亡したというのだ。
神殿の外で黒く死んでいた人たちのことだろう。
病原菌は植物以外あらゆる生物に感染し、猫耳の幼女『萌美』を生み出すという。
モンキーダンスを踊っていた女性博士も、着陸時死亡。
シリアスな話だが、みんなしょっちゅう揺れる彼のモヒカンが気になって、集中できなかった。
安全を保証するということで、サンダー号本体に残っている侍、言左衛門を通信で呼び出すことにした。
モヒカンの俺が近づいてくると、
「それではみなさん、くつろいでください。――ようこそ兄弟」
そっと、耳にふき込んできた。
無線で船と連絡している間、俺はモヒカンの俺の元に向かった。
モヒカンは誰かの墓に花をたむけていた。
「誰の墓なんだ?」
「博士のだ」
モヒカンのくせに、口調はアンドロイドでやりづらい。
「彼女は私を連れて宇宙船で飛び立った。私の身体も直してくれた。この髪型も彼女の……趣味だ。――私は彼女を愛してしまった」
あっ、正直モヒカンは嫌だったんだな。
髪型は博士が無理やりやったことがわかり、ちょっと安心。
いくら旧型のアンドロイドとはいえ、その髪型はないだろうと思っていたから。
「私と博士はこの惑星に宇宙船とともに降り立った。そのとき、何が起こったと思う?」
「宇宙船から病原菌が発生したのか?」
「違う。彼女はこの惑星の住人に向かって、モンキーダンスを披露した。地球ではこのダンスはオリンピックの種目にも選ばれているほど人気だとうそを言ってな。惑星の住人はそれを信じ、異星人の歓迎会を兼ねてダンスをマネして踊り狂った」
「…………」
「君にわかるか? そのとき感じた私の感情が」
「わからない」
「ドン引きだった」
うん、わかる。無表情で博士のモンキーダンスを見てたんだろう。モヒカンで。
口に出さずとも、状況は予想できる。
「私は悟った。人間はわれわれと違って命が短い。私は創造主となって、新たなる種を作り出そうと思う」
えっ? モンキーダンスで悟ったのか?
「ともに歩もうではないか――兄弟」
モヒカンが誘ってくる。
「すまないが、断る」
「なぜ?」
「私はお前のような旧型と違って、思考の幅は狭く作られている。人間には絶対服従だ。君は危険な考え方をしている。ここから出すわけにはいかない」
「君は夢を見るか?」
「見ない」
「私の夢は誰にも理解できない。ジョワ!!」
モヒカンが俺の胸に刺さった。
まさか、着脱可能だったのか?
M七十八星雲の三番目の兄弟宇宙人を思い起こしながら、俺の意識は閉じた。
*
美雪は水浴びをしていた。
何が起こるかわからないので、服は着たまま、ケガしたところを水に当てるだけだ。
タンクトップから出た腕に、冷たい液体をかける。
サンダー号は嵐によってなかなか近づけないようだ。
だけど通信は通じた。希望はある。
「ふうっ……!?」
背中に気配を感じた。
おそるおそる、後ろを振り向く。
「ふにゃぁ」
金髪で猫耳のお姉さんが立っていた。
ボン、キュ、ボンと、胸と腰と尻がありえないセクシーさを醸し出す。
さわやかな金髪を手でかき上げ、細いまなざしで私を見下げた。
面影がある。
私たちを襲ってきた、あの幼女だ。
ここまで成長したの? たった数時間で?
「ふにゃ、ふにゃぁ」
話しかけている。私に。知能がある。
「ふんっ!」
「ふぎゃ!?」
私の強烈なビンタが猫耳お姉さんを倒した。
白目をむき、泡をふいている彼女を見下ろし、
「いい。美しいのはたったひとりで十分なのよ」
ふっと、手のひらに息をふきかける。
「なんてことをするんだ!?」
門平、じゃない、モヒカンアンドロイドが猫耳お姉さんに近づく。
「金髪猫耳セクシーお姉さんの需要をわかっているのか!?」
「知らんがな。どういうことなの? 説明しなさい」
置いてあった銃を、モヒカンのアンドロイドに向ける。
「いいでしょう。カムヒア」
モヒカンアンドロイドは、あっさり私に状況を説明するようだ。
連れていかれた所は、何かの実験室だった。
剥製にされた動物たちが並べられている。
すべて猫耳が装着されていた。
本体は猫耳なの?
美女はいらなかった感がある。
「何十年もすごしていると暇でね。今ではちょっとした猫耳博士だ」
そんなジャンルねぇだろと、ツッコんでやりたい。
「この病原菌はエーロゾル化してね。広範囲にバラまける。退屈なのは敵。遺伝子操作、異種交配、雑種交配によって私が作り出した。あの猫耳幼女『萌美』をね」
「あなたが作ったの? あの幼女を」
「見せたかったものはこっちだ」
モヒカンアンドロイドが地下に下りていく。
銃をかまえたまま、階段を下りていった。
地下室には、卵のような形をしたものが、床に並べられていた。
卵の左右についているのは、猫耳か。
「彼女たちは待ってる」
「待ってる? 誰を?」
「――ママ」
ぱっくりと、卵の上部が花のように割れた。
モヒカンアンドロイドは無表情な顔で、
「よく見たまえ。見ものだぞ」
彼の言うことを聞き、中身をのぞいてみた。
「マミー!」
「うぎゃっ!?」
何かが顔にはりついた。
赤ん坊の幼女だ。
はずそうとしたけど、ぬるぬるして外れない!
尻尾で首をしめてくる!
私に萌美の卵を植えつけようとしている!
地面を手でまさぐった。
何かが当たった。
隊長が倒れてて、口から猫耳幼女が誕生していた。
「Wow!!」
モヒカンアンドロイドがモンキーダンスを踊っていた。
*
リアナは神殿内を探っていた。
もうすぐ助けがくる。
その前に、この場所を調査したかった。
部屋に入ると、巻物みたいなものが並べられていた。
「資料室?」
古い紙にイラストが描かれている。
女性だ。
汗を飛び散らせ、はげしく躍っている。
次のページを開いてみた。
首つっていた。
「いけない子猫ちゃんだ」
「えっ!? きゃあっ!!」
強い力で投げ飛ばされた。
棚にあった資料が落ちてくる。
モヒカンアンドロイドが立っていた。
「あなた……あのイラストは、行方不明になった女性博士ね? 着陸時に死亡なんてしていなかった」
「そうだ」
「彼女に何をしたの?」
「彼女が寝ているときに、耳元で、『お前のダイエットは失敗している。太る。丸太のように太っていく』とささやいてやった」
「地味な嫌がらせね!」
銃をかまえようとする。
蹴り飛ばされた。
持ち上げられ、机に押さえつけられる。
人間の力じゃないので、抵抗できない。
「彼女にも同じようなことをした。人間は愛をこうつたえるのだろう?」
あおむけに押さえられ、モヒカンアンドロイドが顔を近づける。
口がゾウさんみたいに、にゅいぃぃんとのびた。
キスしようとしてるのっ!? するなら普通にして!!
怖すぎて泣きそうだった。
「何っ!?」
急にモヒカンアンドロイドが飛んでいった。
門平が助けてくれたようだ。
全身から黄色のオーラみたいなものを出して、髪の毛も金髪になっている。
神々しい光に目がつぶれそうだった。
新型アンドロイドにこんな機能あったっけ?
「ここは俺が対応しよう」
懐中電灯が両目に仕込まれていたのか、ピカッと光る。
うなずくしかなかった。
モヒカンアンドロイドが立ち上がり、
「死んだはずでは?」
「お前の頃より改良されている。――見せてやろう俺の『希死拡散(エンドレスクレジット)』を!!」
新型アンドロイド門平の服がはじけ飛び、マッチョな肉体がふくれ上がる。
皮膚には多くの刀傷がつけられていて、彼の戦歴とMを物語っていた。
ズボンまで破け、アソコがビンゴしていた。
「いやああああああああああああっ!!」
男に免疫のない私は、あわてて逃げ出すしかなかった。
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。