書評:友情  武者小路実篤

文字数 656文字

前置き:いきなり純文学の感想を上げるのは、某企業のシナリオライター募集に応募しようとして、課題として【好きな物語の推薦文を書け】というのがあったからです。思うところあって、企業には応募しなかったのですが、せっかく書いたので、ここにあげさせていただきます。文字数制限があったので短いものにちょい足ししました。

以下、本文です。

武者小路実篤といえば「仲良きことは美しきこと哉」という言葉で有名だ。その彼が「友情」というタイトルの小説を書いたのだから、さぞかしさわやかで心温まる物語だと思われるだろう。しかし、それはとんでもない誤解だ。

私はこの物語に「友情」というタイトルをつけた著者にタイトルの重要さを教わった。

同じ題材でまったく違う方向に走った作品に夏目漱石の「こころ」がある。夏目は夏目の物語に「こころ」というタイトルをつけた。
両方を読み比べれば【友情】と【心】について深みが増すだろう。どちらの物語に共感するかも分かれると思う。

「友情」を推したい。

私(甘らかん)という人間に関して言えば、まったくの「こころ(夏目漱石)」寄りで、忖度と卑怯でできあがっている。
そしていつまでも嘘と裏切りと理不尽にこだわって死を選ぶことしかできないだろう。
そういう人間であるからこそか、このような人物たちを表にだし、平手打ちをかますような物語に仕立て、全てをぶち壊して天を仰いで大声で叫ぶ物語に衝撃と感銘を受けたのだ。

なにを置いてもこの物語のタイトルに「友情」とつけた武者小路実篤に敬意を表したい。
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