映画:ザ・ファブル(ネタバレなし)

文字数 2,454文字

映画:ザ・ファブル
感想・ネタバレなし

 2019年6月21日封切り「ザ・ファブル」を鑑賞させていただきました。
 主演は驚異の身体能力を持つ男としてその筋では有名なV6の岡田准一さんです。
 彼を主演に持ってきた段階で【アクション巨編】が約束されたものなので、その驚くべき筋肉と動きっぷりを、網膜から視神経に伝達させ、脳髄を刺激して末端神経にまで、ドクドクした熱いたぎりを届けさせて末端冷え性の解消に役立てていただきたい。

 ストーリーを紹介させていただくと。
 裏の世界では都市伝説と言われている殺し屋組織ファブル。その中でも最高傑作といわしめた男と相棒の女が佐藤アキラ、ヨウコという偽名と兄妹設定を与えられ。大阪の街で1年間、殺しを封印のうえ一般人として暮らしてみろ。とボスに命令されます。
 プロとしてそのいいつけを守ろう、普通になろうと頑張るわけですが、周囲がそうはさせてくれない。気がつけば巻き込まれて拉致された人間を救出に向かうこととなる。
 そこには殺してはいけない物騒な男たちがうじゃうじゃ待ち構えている。伝説のファブルを始末して自分が伝説になるのだという野望を持った同業者まで待ち構えている。
 こんなヤバいやつら相手にどう闘う? 殺さずに! という流れです。

 原作(南勝久:講談社ヤンマガKC)を上手になぞりながら飽きさせることなくまとめていた。ただ、原作を100%忠実にやろうとしたら2時間では足りないわけで、どうしても削らなくてはならない部分がでてきてしまう。
 その削られてしまった部分。特に出番が少なかった人物の設定とか、にもファブルらしい味があるので。そこが映画で表現しきれていなくてもどかしさを覚えたりもした。
 そこは時間切れで補えなかったということで、詳しくはWebで。ではないが、原作が現在18巻まで出ているので熟読することをお勧めしたい。

 さて、江口カン監督は【男臭い世界】【アクション】に重点を置いたのではないかと推測する。映画なのだからドーンと打ち上げ花火あげてやろうという意気込みが感じられ、その気負いが俳優陣にも伝わっていた。
 原作で表現するファブルの強さをそのままスクリーンに乗せた場合、どれくらいアキラの凄さが伝わるのか難しいところだろうから、映画というエンターテイメントにおいて、これくらいの肉付けはしないと【面白くない】だろう。
 のっけからかなりの血しぶきで、それはもう、あっちで血みどろ、こっちも血みどろ、出血大サービスである。
 男臭さという部分では、原作の持つ雰囲気に敬意を示してのことと思いたい。
 出血量のぶん、清涼剤である【笑ってしまうシーン】にもぬかりはない。河合くんのピスタチオやジャッカル富岡のギャグ、仕事探しのくだりはもちろんのこと。
 一流の殺し屋であるけれど、かなり天然な男であるアキラ。彼がはじめて日常に放り込まれる様は見ている者をハラハラもさせるしほっこりともさせる。
 ヒロインのミサキちゃんと気持ちを同化させ、いくらでもお世話したくなるし、純真無垢なアキラのキャラにキュンキュンもできる。
 純真無垢といえば、アキラは裸族である。
 家の中では常に裸で、来客があってもそのまま出たりして海老原などを呆れさせたりもする。
 映画でももちろん。岡田准一、脱いでくれました。ありがとうございます。乳首が妙にエロかったです。たくましい胸板に乗っかる乳首が気になって仕方なかったので、みなさんも凝視してください。穴はあきませんから大丈夫です。
 その岡田准一。さすがはジャニーズで演技派の誉れが高いだけのことはありました。かなり原作読み込んでくれていることがわかります。アキラの気持ち、つかんでいます。
 久々にド派手なアクションもできたので気持ちよかったのではないでしょうか。
 気持ちよかったでしょうといえば、ファブルに異常な執着心をもって倒そうと躍起になるフードを演じた福士蒼汰。師と仰ぐ岡田准一とアクションでの絡みが念願だったというだけあって喜びが役に現れて嬉しそうすぎて、イっちゃってる感じが突き抜けていました。
 イっちゃってるのは真黒カンパニーの面々も同じですが、なかでも柳楽優弥と向井理の悪ぶりは目を見張るものがありました。この二人の役づくりの才は器用すぎるとしか言いようがなかったです。
 笑いを誘わない役をこなした安田顕やら息詰まる展開のなか笑いをくれる佐藤二朗。安定のボス感の佐藤浩市など。役者に外れなし。
 男臭い世界のなかでWヒロインといっても過言ではないミサキとヨウコ。山本美月と木村文乃もぴったりはまっていました。
 原作そのまま出てきました。という人ばかりではなかったのに、映画ファブルとしての世界観に全員が密着している。そんな満身創痍に男臭い映画ファブルでした。

 後半見せ場のアクションシーンですが、岡田ファブルの動きが早すぎて眼球が追いつきません。人間って、こんなに早く動けるの? ちょっとすみません、そこスローで見せていただいてもよろしいでしょうか? いまここにリモコンがあったなら、操作ボタンをポチッとしたいほどです。動体視力を試されているので、頑張って動きについてきてください。
 見せ場だけあって長いシーンになっているのですが、どこでカットいれているのだろうか。カメラ止めないで〜! 撮りづつけて〜! という監督の声が聞こてきそうな怒涛の勢いです。
 岡田准一、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理がそれぞれの立場で絡み合う図はキャラクターの性格もはっきり見てとれる名シーンなので、早すぎるアクションのなかで垣間見れる人物像が大きなポイントです。見逃さないよう頑張りましょう。

 原作では救出の流れを【散歩】といっています。原作の散歩と映画の散歩。どちらも表現は違えど迫力は拮抗しています。
 原作しか知らない人、映画しか見ていない人。比べてみてはいかがでしょうか? 
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