映画:トゥレップ〜「海獣の子供」を探して〜 【「海獣の子供」スピンオフ】

文字数 1,123文字

 2019年7月。映画 トゥレップ~「海獣の子供」を探して~を鑑賞させていただきました。

 この映画は実写ですが、長編アニメーション映画「海獣の子供」のスピンオフで「海獣の子供」の世界観を、生物学者、獣医学博士、水中表現家、漫画家(原作者)、人類学者、精神科医、理論物理学者という面々が専門の角度から「海獣の子供」とはなにかを講義してくれるという、ドキュメンタリーでもあり。
「海獣の子供」で長髪イケメンの声をあてた森崎ウィンが、7本のビデオテープを残して謎の失踪を遂げた男として、本作を映画として生かすためのストーリーを添えている作品でもあります。

 この映画はもちろんアニメーション会社STUDIO4℃が制作したものです。短編で単館上映ですので、上映自体知らなかった方もいるのではないだろうか。
 実際私も誘われなければスルーしていたであろう作品でした。

 本作は「海獣の子供」を観ていないと意味のない映画です。
「海獣の子供」でなんといったらいいのかわからない感情が湧きあがったり、どうしても辻褄というか、制作意図が知りたい。と突き動かされたならば観た方がいいに違いない作品です。

「海獣の子供」を観て、よくわからなかった。
【ジュゴンに育てられたってなに?】
【生物学上では兄弟は100パーセント人間だというのに、兄弟どこに行ったの?】
【宇宙と海の繋がりってなに?】
【この壮大なスケールってどこから来ているの?】
【海獣の子供ってなに?】
 もろもろについて、専門的な角度から解説してくれるのですから、これはもう、ありがたいというか、「海獣の子供」がこんなにも裏をとって制作されていたんだと。本編の迫力にさらなる説得力が生まれるのです。
 これだけの興味深い専門知識を表にださないのは勿体なさすぎるとSTUDIO4℃が思ったのか、もともとスピンオフとして作るつもりだったのか。
 おそらく「海獣の子供」の円盤がでたときに、本編もついてくるものと信じているので、「海獣の子供」を鑑賞した後、かなり興味深い解説として観てほしいです。

 専門的な講義が続くので、眠気を誘う可能性もありますので、睡眠不足の状態では鑑賞しないほうがいいかもしれませんが。
 専門的な話ばかりで眠くならないように、森崎ウィンを起用した物語仕立てになっています。
 彼の身に起きた物語を追っていくと「海獣の子供」に数歩近づくことができる。そういう構成が映画として楽しめました。

「海獣の子供」の円盤が出るときには必ずスペシャルとしてつけてほしい。そういう解説映画です。
 各先生たちの貴重な講義を映画の鑑賞料金で聞けたのはかなりお得でお安かったです。
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