第17話 男尊女卑の擬人化、サンショウ陥落する

文字数 818文字

サンショウさん、昨日の夜はすみませんでした。
その話はするなって言っただろっ。

(鼻をぐずぐずさせる)

風邪ですか? もしかして濡れた体で帰られたから。


(右手のひらをサンショウの額に当てる)少し熱っぽいです。

さわるなよ!

(乱暴に手を払うサンショウ)

あ……私、汚れていない、です、よ?

……やっぱり出身地気になりますか?

違うっ、そういうつもりじゃなくて。
今だけは私の言うとおりに休んでください。
公民館、サフラン先生とグリズリー君のいる部屋の隣が医務室。


サンショウは寝間着に着替えさせられベッドに座り、サフラン先生が運んできた薬湯を飲む。

飲み終わるまでジッと見つめるリコリス。

最悪に苦い。かえって具合悪くなりそうだ。
ベッドに入るとだんだんウトウトするサンショウ。

ついたてを隔てた向こう側で、サフラン先生とグリズリー君、リコリスがささやくようにお喋りしている。その声が心地よい。


みんなの第一印象、船に乗ったときの話、リコリスは驚くことの連続だったみたいだな。

可愛い声。


……あれ? 俺可愛いとか思ってんの?

他の女どもと違って、男が強く言ったら従ってしまいそうな危なっかしい面があるよな、あいつ。


放っておけないっていうか……

(ついたてから覗きながら小さい声で)

サンショウさん眠ったみたいです。

サンショウ君て、少し言葉が乱暴なときがあるけど、悪気はないから。

単に虚勢を張っているだけだから。あんまり気にしないで。

そうそう、小学生男子だと思って接してあげて(笑)


一度ね、モカさんに男尊女卑を矯正されて、少女マンガみたいに優しい男の子になったことがあったの。

いろいろと面白い男の子よ。

(は? 2人とも俺をそんな風に見ていたの?)
雰囲気や話し方がヒイラギさんに似ているんです。元のご主人様の。


だから慣れているので大丈夫です。

俺はそのまま眠り夢を見た。


リコリスが俺のことを「ご主人様」「サンショウ様」と呼ぶ。

なかなかいいシチュエーションだ。


俺はリコリスに陥落した。

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