第6話 リコリス(高校1年生)のご主人様
文字数 593文字
ハイヤーを降り、玄関で靴を脱ぐとドカドカと廊下を歩く男、ヒイラギ。
国立工業東京大学2年生。上級州国民の祖父を持つ。
一族が経営するのはレーダー・精密機器を扱う軍需産業。
あ、はい、ここにいます。
お帰りなさい、ヒイラギさん。
俺、今から風呂入るけど、俺が出たらすぐ入って。
それで20分くらいで寝室に来て。
リニアがあっても東京から遠いからな、ここ。大学の実験が忙しいんだ。
リコリス、高1だっけ。
ずっとやっている薬草の精製だって苦手なんだろ?
リコリスに大学なんて無理だよ、おっと、お喋りしていたら時間が無くなる。
それとも風呂、一緒に入る?
あ……私なんかが一緒に入ったら、お湯が汚れてしまう。
……いや、大丈夫だろ。今は差別は無いって学校で勉強しただろ?
でも、上級州国民の血筋のヒイラギさんと私じゃ、身分が違いすぎて。
知らないっ
あ、ごめんなさい、乱暴な口をきいてしまって。
私なんかで……よかったんですか?
若い女の子が私くらいしかいなかったから、なんか申し訳なくて。
瞳の色もみんなみたいに宝石色じゃ無いし。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)