第14話 合宿3日目にしてメンバー決定

文字数 1,294文字

きらめく海をバックに自撮りをするジンジャー。

ファンクラブの会報に掲載するオフショットのようです。


テラスに戻り休憩していると、ジニアが冷えたグワバジュースを運んできた。

どうぞ。


(斜め前に座り、ジンジャーをジッと見つめる)

(いつも俺をにらんでいる子だ。ちょっと苦手)ありがとう。


(ジュースを受け取り一気に飲む)

ジンジャーさん、今まで体のために冷たい飲み物は避けていましたよね。

いつも飲み物は常温だったはず。

ジニアちゃんが持ってきてくれたからね、今は特別。

やっぱり変。ホスト感100%だ。


ホスト時代に培った甘い対応30%と、サイコパスのような冷たい対応70%のバランスがよかったのに。


映画『7人の地面師』のサイコパス司法書士役は最高だった。

続編『7人の相続人』でコメディの新鉱石も発掘した。

ドラマ『アコースティック・ライフ』のゲイ役切なかった。

ジンジャーメイト達でタイムラインはいつも大騒ぎだった……!


嫌われるの覚悟で、ファンの総意を代表して言いますね。

ジンジャーさん、セージとつるむようになってから俗っぽくなった。

特に最近になってまた変わってしまった。ただのホストになっちゃった。


テレビショーに合わせた対応は他のタレントに任せて、ジンジャーさんは前のように冷たい眼差しで佇んでいて欲しい。

器用に立ち回り媚びを売るジンジャーさんはジンジャーさんじゃない……

(セージのやつ再起動するときに、俺にテレビタレント向けの汎用スキルを搭載したんだよな。そのせいでキャラがブレブレ。……それだけじゃなくて自分のフォローをさせるために、マネージャー的スキルも搭載したっぽい。本当に自分勝手なやつ)
何よりも違ったのはアコースティックギターが上手くなっちゃった。


体内時計狂っているんじゃないかって思うくらいリズムが前のめりで進んでいくし、疲れると適当に流すところとか、歌詞もちゃんと覚えていなくて適当に歌うところがよかったのに。

素っ頓狂なアドリブが私達ファンに刺さりまくりだったのに。

(テーブルに突っ伏してしまうジニア)


本当にジンジャーさんですか? 偽物じゃないんですか?

(あー面倒くせえ)


君に答える必要ある?

不合格にしてもいいんだよ。(薄笑い)

あ、ジンジャーさんだ! 私の大好きなジンジャーさんだ。よかった……

そのゴキブリを見るような目、最高……


実は私、ジンジャーさんが本物なのか確認したくてエントリーしたんです。

(俺ってどういう俳優だったの?)
もう大丈夫です、安心しました。ジンジャーメイト達に伝えます。みんな今日からぐっすり眠れる……


(晴れやかな顔で)私、オーディションを辞退します。

(え? 渡辺アマリリス一押しの子が辞退? レアアース発掘の大きな利権が絡みそうだったのに。

っていうと残ったメンバーは……)

バトルアイドルグループ『ビターチョコレート』


メンバー:ダリア エリカ デイジー ルクリア 以上4名

なんか思っていたより随分と地味だな。これはかなりテコ入れしないと売れないよ。

(なぜかジンジャーを冷たい目で見るセージ)

(元はと言えばセージさんが、バージン(オリジナル)こだわりで気まぐれに選ぶから……)
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