第11話 自己紹介で大盛り上がり

文字数 1,189文字

ナンテン教授は甲板に出て、いきいきと『海上水路(チョーク・ポイント)』を発動中。敵が近づけば『攪乱(セイレーン)』で電気系統と人間に備わった ”勘” を狂わせる。


いくつものスキルを同時に操る教授は、まるでオーケストラの指揮をしているかのよう。


船内で女子たちは自己紹介し合う。

私とカルダモンは高校3年生よ。シナモンとナツメグは高校2年生。リコリスちゃんは?
高校1年生です。
やった、後輩が増えた。

アジトにいる仲間のクローブは高2、ヒノキは高1だよ。

これからは先輩になんでも聞いてね。(得意気)
カルダモン先輩、船酔いですか? ちょっと失礼します。


(そっとカルダモンのカルダモンの両耳の後ろと、手のひらと手首のツボを押していく)

あ、楽になってきた! リコリスってすごいな。

アタシが男だったらリコリスとつき合いたいぜ……


そういえばさ、サフラン先生が心配していたんだよ。

リコリスが上級州国民の愛人になる前に救い出したいって言っていて……間に合ったか?

あ、えっと、それは……
(おっと、すでに囲われ済みかな?)
私、ヒイラギさんという大学生の愛人でした。


上級州国民の孫にあたる人で……隠しても仕方ないので。

え! もしかしてリコリスちゃん、経験済みなの!?
真っ赤になるシナモンとナツメグ。
アタシ達の中で一番先輩じゃん。

バジルはガチアイドルでそういうところは潔癖だし、アタシもこう見えて純情乙女だし、この2人(シナモンとナツメグを指さし)はこんなだし。

(出会ってすぐにこんなトークしちゃうんだ。カルダモンも驚いて船酔いのこと忘れているし)
あのさ、そのヒイラギってヤツはさ、優しくしてくれたのか? リコリスのこと。
……男の人から優しくされるって、よくわからない。
みんな渋い顔で黙り込む。
うーん、えっとね、優しいこととか言わなくても、例えば態度かな? 

気にしてくれて、心配して側にいてくれたり。

いろいろ自分に興味持ってくれて、話しかけてくれたりとか?
そういうことは無かったです。ヒイラギさんの所有物扱いだったし。


ヒイラギさん、いつも威張っていて恐かった。

じゃあ、切ってきて正解よ。

そんな男は忘れて、新しい恋をしよう!


アジトにも男子いるよ。

あ、でもフリーなのはチャイとサンショウと村長さんだけか……キツいな。

ええ? 俺、バジルちゃんといつかは付き合えると思って一緒にいるんだけどなー。
その件はアイドル卒業後に考えるわ。
ま、とにかくアタシ達はリコリスの新しい恋を応援するぜ。


過去の男はアジトに着くまでに忘れろよ。

(今わりとヤバい状況なのに、恋愛が優先順位の上位にくるところがさすがだよね)


みんなー、リコリスちゃんの話は内緒にしようね。

サフラン先生には言ってもいいけど。

男子は驚いて妄想を膨らませちゃうし、クローブはまた社会に対し怒り狂うだろうし、ヒノキはマンガのネタにしようとして根掘り葉掘り聞くだろうしー。

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