23 オリハルコンのオリちゃん
文字数 1,542文字
洞窟の奥にある、先祖伝来の場所。
天井が高くなって、柱のようなものもあり、石で階段もできている。
ちょっとした、地下宮殿のような建物。
明かりは間接照明とでも言うのか、はっきりと光源が見えているわけではなく、ぼんやりと洞窟内を照らしている。ボクは階段を上り、おじちゃんが作業している部屋へ向かった。
おじちゃんの作業部屋の前で、緑色の岩っぽい彼らが声をかけてきた。外見が岩みたいなだけで、もうちょっと、もそもそくにゃくにゃしている。
たまたまなんだけど、来客のベルのようになっていた。
おじちゃんがそう言っているのが聞こえた。
騒がしいって、ひどくない?
でも、すぐには声が出ない。
泣きじゃくりすぎた。
彼らは心配そうに、ボクの方にやってくる。
ボクは呼吸を整える。
三人合わせてオリハルコンちゃんが、嬉しそうに返事をする。
『本当にそうなの?』と聞かれたのでうなずいた。
オリハルコンちゃんは、今は緑色をしているけれど、赤い色の時が有名。別名ヒヒイロカネ。緋色の金属という意味。
意思疎通ができる金属。でも、触るとけっこう柔らかい。今は岩のような外見だけど金属のようにもなる。
おじちゃんの作業部屋に入ると、作業台で作業をしていたおじちゃんがそれを中断して聞いてきた。
おじちゃんは、ここでいろいろな物を作っている。
この部屋のイメージに一番近いのは、ドワーフの仕事部屋だろうか?
道具を作るのに適した物が所せましと並んでいる。
おじちゃんのところまで行き、二つに分かれてしまったシャベルを見せた。
オリちゃんとハルちゃんとコンちゃんもついてきて、後ろから覗いてくる。
おじちゃんが答える前に、みんなと一緒にいたオリちゃんが飛び出してきて、ボクの手に乗った。
オリちゃんが直してくれると言っていた。
残されたハルちゃんとコンちゃんがずるいと言っている。
それまでわりと固めだったオリちゃんが液体のようになり、『早い者勝ち』という感じでシャベルの残骸の上にドロンと乗る。
落とさないようにシャベルをしっかりと支える。
オリちゃんを呼ぶ声と、『いいな~』という声。
オリちゃんはまとめて返事をしていた。
ドロンと乗っていたオリちゃんが、シャベルの残骸にしみ込んでいく。
少しずつ、オリちゃんの見えている部分が小さくなる。
ボクが持っていたシャベルに、オリちゃんがまんべんなくしみ込んだ。
おじちゃんは、オリちゃんが入ったシャベルの残骸を、ボクの手から受け取った。
ボクは作業台の近くにあった、丸いシートで背の高い椅子に座る。
ハルちゃんとコンちゃんは、残念そうに返事をした。
シャベルに溶け込んでいるオリちゃんが返事をした。
カン、トン、カン
おじちゃんは作業台にオリちゃんが入ったシャベルを置き、特別なトンカチで叩く。
ボクたちは、それを固唾をのんで見守った。