10 スコップの歌のつづき

文字数 516文字

ス……、スコップ?
恐る恐るという感じで、ケンちゃんは答えた。
それでいいの?
え?
ホントにそれでいいの?

だって……

スコップだろ?

ふっ……
え?!
ケンちゃんはうろたえる。
違うのか?
なんか楽しい。
不正解!
シャベルなのか?!

ケンちゃんは悔しそうだ。

ふっふっふ。もっと悔しがれ。

正解は……
………………。
手に汗を握るような、緊張の瞬間……。
どっちでもいい。
あ゛?

どすの効いた声。

ケンちゃんは、いたいけないボクに向かって、ものすごい顔でにらんできた。

シャベルでもスコップでもどっちでもいい。つまり、両方正解。

両方正解なら、

スコップでいいじゃないか。

ケンちゃんの言葉に、ボクは首を振った。

ダメだよ。

ちゃんとスコップとシャベルって言わなきゃ。

…………。
ケンちゃんはいつも二択なんだよ。
それは、ショウがスコップかシャベルかって問題を出したからだろ?
ケンちゃんはそれに引っかかっちゃったんだよ。本当は、第三の選択肢を見つけなければいけなかったんだ。
スコップとシャベルが第三の選択肢?
うん。

スコップとシャベルの違いは?

歌にするには

スコップの方が歌いやすかったんだよ。

それだけの理由なのか?
うん。
ボクはうなずいた。
くっ……。

ケンちゃんは、悔しそうな顔をしていた。

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登場人物紹介

ショウ

小学3年生の男の子

ケンちゃん

ショウの従兄

中学2年生

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