24 その頃のケンちゃんの行動

文字数 1,166文字

ちょっとさかのぼる。
…………
ケンちゃんはおじいちゃんの家に行き、おばあちゃんの背後にいた。
ばあちゃん
おばあちゃんがビクっとして振り返る。

びっくりした……

ケンちゃん、いたの?

なに、驚かせてるの?

うん
いつにも増して、無表情だね。
ちょっと、出かけてくる。
どこ行くの?
ちょっと……
どこに行くのか、ちゃんと説明すればいいのに……。
ひとり?

ショウちゃんは?

じいちゃんの

貯蔵庫にいる。

そう?
行ってきます……
暗い感じで言うと、ケンちゃんは出かけて行った。
ケンちゃん、ちょっと待って。
そう言って、おばあちゃんも一緒に行こうとして簡単に支度をして外に出た。
あら?

ケンちゃん?

おじいちゃんの家の外の周辺に、ケンちゃんはいなかった。
おじいちゃんみたいねぇ……
おばあちゃんはそう言って、家に戻った。




***




…………
ケンちゃんはすでに中野ストアの前にいた。
…………
お店に入るのかと思っていると、中野ストアの前にあるバス停に向かう。
(もうすぐ来るな)
ケンちゃん、バスに乗ろうとしてる?
…………
ひとりでお家に帰っちゃうつもりなのかな?
……
そんなことを思っていたら、バスが来た。

ここから一番近い電車の駅まで行くバスだ。

……
ケンちゃんはそのバスに乗った。

他に乗客もいない。


ちょっと変な感じ。

昼間なのに、異世界に行っちゃいそう。

……
何も言わずに、終点まで乗っているケンちゃん。

ボクならすぐに飽きるけどな。


運賃を払って外に出る。

なんか、驚いてた。
(駅前なのに、デパートがない?)
そういう駅も、あるんだってば。
(デパートどころか、店もない……)
ケンちゃんは、ポケットから携帯を出す。
(ウソだろ? 電波も来てない?)
ケンちゃんは、改めて周囲を見る。

単線の線路と、こじんまりした無人の駅舎。


他は豊かな緑が広がっている。

もう一個あったバスの方が、もう少し開けた駅に行ったんだけどな。


おじいちゃんの家に来るときも、そっちから来たはずだよ。

(じーちゃんとばーちゃん、こんな田舎に住んでたのか?)
ふふふ、ウチの田舎を甘く見てたね。
(ってか、こんな駅、知らないぞ。電車、走ってるのか?)
ケンちゃんは駅舎の時刻表を見に行く。
(……朝に1本、夜に1本? ホントに駅か?)
なんて失礼なことを考えてるんだ。

ボク、けっこう気に入っているのに。


のどかな感じ、ボクは好きだな。

(でも、もうすぐ電車が来るし、行先は知っている駅だ。あそこならデパートがあったはず……)
ケンちゃんは電車に乗ることにしたようだ。

ちょっと待っただけで、電車がやってきた。


バスが間に合うように走ってただけなんだけどね。




***




…………
ケンちゃんは口をぎゅっと閉じて、電車に乗っていた。

1両の電車は、ファンタジーの世界の乗り物みたいなのに、そんなのどうでもいいかのようだ。

…………
都会の喧騒を離れて、のどかな風景を楽しめばいいのにな。
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登場人物紹介

ショウ

小学3年生の男の子

ケンちゃん

ショウの従兄

中学2年生

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