24 その頃のケンちゃんの行動
文字数 1,166文字
ちょっとさかのぼる。
ケンちゃんはおじいちゃんの家に行き、おばあちゃんの背後にいた。
おばあちゃんがビクっとして振り返る。
なに、驚かせてるの?
いつにも増して、無表情だね。
どこに行くのか、ちゃんと説明すればいいのに……。
暗い感じで言うと、ケンちゃんは出かけて行った。
そう言って、おばあちゃんも一緒に行こうとして簡単に支度をして外に出た。
おじいちゃんの家の外の周辺に、ケンちゃんはいなかった。
おばあちゃんはそう言って、家に戻った。
***
ケンちゃんはすでに中野ストアの前にいた。
お店に入るのかと思っていると、中野ストアの前にあるバス停に向かう。
ケンちゃん、バスに乗ろうとしてる?
ひとりでお家に帰っちゃうつもりなのかな?
そんなことを思っていたら、バスが来た。
ここから一番近い電車の駅まで行くバスだ。
ケンちゃんはそのバスに乗った。
他に乗客もいない。
ちょっと変な感じ。
昼間なのに、異世界に行っちゃいそう。
何も言わずに、終点まで乗っているケンちゃん。
ボクならすぐに飽きるけどな。
運賃を払って外に出る。
なんか、驚いてた。
そういう駅も、あるんだってば。
ケンちゃんは、ポケットから携帯を出す。
ケンちゃんは、改めて周囲を見る。
単線の線路と、こじんまりした無人の駅舎。
他は豊かな緑が広がっている。
もう一個あったバスの方が、もう少し開けた駅に行ったんだけどな。
おじいちゃんの家に来るときも、そっちから来たはずだよ。
ふふふ、ウチの田舎を甘く見てたね。
ケンちゃんは駅舎の時刻表を見に行く。
なんて失礼なことを考えてるんだ。
ボク、けっこう気に入っているのに。
のどかな感じ、ボクは好きだな。
ケンちゃんは電車に乗ることにしたようだ。
ちょっと待っただけで、電車がやってきた。
バスが間に合うように走ってただけなんだけどね。
***
ケンちゃんは口をぎゅっと閉じて、電車に乗っていた。
1両の電車は、ファンタジーの世界の乗り物みたいなのに、そんなのどうでもいいかのようだ。
都会の喧騒を離れて、のどかな風景を楽しめばいいのにな。