7 ダジャレを言っているのは……

文字数 1,063文字

ボクはケンちゃんと、裏山のおじいちゃんの倉庫に再び来ていた。
…………。
ケンちゃんはシャベルで地面を掘っている。


…………。
ボクがそうしてくれと頼んだからだ。

地底人に会うならば、下に向かって掘るのがいい。

俺らは……、

地底人、なのか?
そうそう。
掘れば……

いいのか?

そうすれば、

いつか他の地底人に会えるよ。

もしもいるのなら、そうとう掘らなければいけないが、それは言わなくてもいいだろう。
…………。
ケンちゃんは黙々と掘っている。
……。
ボクはそれを見ていた。
…………。
ザックザックと掘っている。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
ふぁ~ふっ
ついうっかり……

あくびが出た。

…………。
ザックザックと掘っていたケンちゃんの手が止まる。
ごめん、続けて。
…………。
ムッとした顔でボクを見て、それからまたザック、ザックと穴を掘る。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
…………シャベルがしゃべった。
キュートな声でボクが言うと、ケンちゃんは固まった。
……………………。
ケンちゃんは、ボクをじーっと見た。
(ドキドキわくわく)
ボクはどういう反応をしてくれるのか、楽しみにしてケンちゃんを見た。

とってもとっても楽しみだった。

…………。
ケンちゃんは何も言わず、また穴を掘る。

ザック、ザック、ザック、ザックと……。

何か反応してよ。
ボクがそう言うと、
おまえのくだらないダジャレに付き合いたくねんだよ。
手も止めずにそう言った。

そして、ザックザック、ザックザックと穴を掘る。

ダジャレじゃないもん。

しゃべってるもん。

ケンちゃんはしかめ面をして手を止める。
何て言ってるんだ?
ボクはしばし、固まった。

…………ざっくざっく。

…………。
ケンちゃんはしかめ面のまま固まる。

それ、しゃべってねーから。

ムッとして穴を掘り出すケンちゃん。

ボクはそれを見つめる。




ケンちゃん
なんだ?
ヒマだよ。

暇だからって、くだらねーダジャレ言ってんじゃねー。

くすくす

今の、ダジャレじゃないからな。『ジャ』しか同じじゃねーし。

わかってるよ。

ケンちゃんにハイセンスなダジャレ、求めてないし。

ケンちゃんはそれを聞いてムッとしてたけど、穴は掘りつづけていた。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
…………。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
……………………。
そのケンちゃんの手が止まった。







ダジャレを言っているのは誰じゃ?
…………………………。












反応くらいしろよ……。
小さな声でケンちゃんは言った。
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登場人物紹介

ショウ

小学3年生の男の子

ケンちゃん

ショウの従兄

中学2年生

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