7 ダジャレを言っているのは……
文字数 1,063文字
ボクはケンちゃんと、裏山のおじいちゃんの倉庫に再び来ていた。
ケンちゃんはシャベルで地面を掘っている。
ボクがそうしてくれと頼んだからだ。
地底人に会うならば、下に向かって掘るのがいい。
もしもいるのなら、そうとう掘らなければいけないが、それは言わなくてもいいだろう。
ケンちゃんは黙々と掘っている。
ボクはそれを見ていた。
ザックザックと掘っている。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
ついうっかり……
あくびが出た。
ザックザックと掘っていたケンちゃんの手が止まる。
ムッとした顔でボクを見て、それからまたザック、ザックと穴を掘る。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
キュートな声でボクが言うと、ケンちゃんは固まった。
ケンちゃんは、ボクをじーっと見た。
ボクはどういう反応をしてくれるのか、楽しみにしてケンちゃんを見た。
とってもとっても楽しみだった。
ケンちゃんは何も言わず、また穴を掘る。
ザック、ザック、ザック、ザックと……。
ボクがそう言うと、
手も止めずにそう言った。
そして、ザックザック、ザックザックと穴を掘る。
ケンちゃんはしかめ面をして手を止める。
ボクはしばし、固まった。
ケンちゃんはしかめ面のまま固まる。
ムッとして穴を掘り出すケンちゃん。
ボクはそれを見つめる。
ケンちゃんはそれを聞いてムッとしてたけど、穴は掘りつづけていた。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
ザック、ザック、ザック、ザック……。
そのケンちゃんの手が止まった。
小さな声でケンちゃんは言った。