第14話:リーマンショックの影響

文字数 1,567文字

 2007年8月23日、三越と伊勢丹が経営統合を発表した。10月1日に郵政民営化がスタートした。12月11日、社保庁が宙に浮いた約5千万件の年金記録のうち、1975万件が名寄せ困難と発表。12月17日「ねんきん特別便」発送を開始した。一方、欧米では、大きな金融問題が持ち上がった。一方、アメリカでは、2007年の6月22日、アメリカ大手証券のベアスターンズでサブプライムローン問題が顕在化した。

 その後、米国大手投資銀行のベア・スターンズ傘下のファンドがサブプライム関連商品の巨額損失で破綻したことに続き、8月には欧州大手銀行傘下のファンドも新規募集・解約を凍結した、いわゆるパリバ・ショックが起きた。その後もサブプライム関連商品の価格下落や金融機関の大規模な損失発表などが行われた。その結果、金融不安が収まることはなかった。

 英国政府により2008年2月、大手銀行ノーザンロックが国有化された。その後の2008年3月のアメリカの大手銀行によるベア・スターンズの救済へと続いたが辛うじて金融システムが崩壊する状況は避けられた。特にベア・スターンズの破綻後は、米国の株価はやや持ち直し、先行き不透明感を表すボラティリティ指数「VIX」や金融機関の信用リスクを表す指標も低下してた。

 こうして、信用不安が一服した状況であった。米国FRBをはじめとする各国の中央銀行が様々な資金供給の枠組みを設けたほか、当局が金融機関を無秩序に破綻させることはないとの一定の安心感が広がったことが背景にあると考えられた。9月7日、アメリカ財務省は政府系住宅金融機関のファニーメイとフレディマックを政府管理下におくと公表した。

 9月15日、当時アメリカ第4位の投資銀行であったリーマン・ブラザーズが負債総額6390億ドル「約64兆円」というアメリカ史上最高額の経営破綻を起こし市場がパニックに陥った。これがリーマン・ショックである。さらに翌9月16日には、アメリカ最大手の保険会社であるAIGの破綻懸念が広がった。アメリカ政府は、AIG生命は救済するがリーマン・ブラザーズは破綻させることを選択した。

 さらにバンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収など金融機関の再編が進んだ。9月のショックでリーマンの決済銀行であるJPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカはレポ債権の追加担保を要求したが、貸付が打ち切られ倒産した。リーマン・ショックはリーマン債を保有していたMMFを元本割れさせた。

 9月19日、MMF保険創設のため連邦政府が為替安定基金から最大で500億ドルを取り崩す方針が公表された。リーマン以外の清算ケースでもCDSは同様の状態であり、CDSの売り手となっていた金融持株会社、投資銀行、保険会社、ヘッジファンドなどは、短期金融市場からの資金調達を金利の急騰に阻まれた。ヨーロッパ系銀行もドル建て流動性資金について同じ境遇であった。

 そのため、新興国経済から資金を引き揚げた。この資金引き揚げによって中欧・東欧・南欧にも金融危機が波及した。2088年第2四半期から2009年第1四半期には、世界の資本移動の90%が消滅し、富裕国の資本移動は17兆ドルから1.5兆ドルへと減少した。2009年第2四半期は、IMFにGDP統計を提出している60カ国のうち52カ国でGDPPが縮小した。

 サプライ・チェーンが同期しているためにアメリカやヨーロッパの需要減少は各国に波及し、世界貿易機関「WTO」が統計を取る104カ国の全てで、輸出入が減少した。世界の原油価格は76%下がり、産油国で財政赤字が続出した。2008年7月11日、原油価格が高騰し、ニューヨーク先物で史上最高の147.27ドルを記録した。しかし、その後、下落していった。
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