第24話 遊び心

文字数 645文字

子猫たちは、一時もじっとしていない。



高い所に登って、うっかり落ちることもあり。



ダイちゃんが巻き添えを食ったりする。



追いかけっこ。
かくれんぼ。
格闘技だってする。



四匹もいれば、何だってできる。
気が向けば、人間とも遊ぶ。

ネコじゃらし。ボール転がし。




そのとき目に入ったものが遊び相手だ。

* * *

ダイちゃんは、ずっとひとりだった。
私と出会って仲良くなってから、
『人間に撫でられたりブラッシングされるのはいいものだ』
ということを知った。



膝に乗ったり、寝転んでいるお腹の上に座ったり。


お客さんはまだ怖いけれど、人間と一緒に過ごすのは悪くない。

過去にどんな目に遭ったのか。ダイちゃんはいろいろなものを怖がった。

ホウキが怖い。
ハタキが怖い。

私が何かを動かすと、ビクッと体をすくめて遠くに逃げた。
ネコじゃらしで遊ぼうとしたこともあるが、まるで反応してくれなかった。
生活の中に『遊び』がぽっかりと欠けていた。

ダイちゃんに『遊び』を教えたのは子猫たちだ。



遊ぶ子猫たちをじっと眺めるダイちゃん。目が少しずつ変わっていく。

瞳孔が丸くなり、全身が目の動きと連動し始める。
うずうずしているのが、傍目にも分かる。



* * *

なにやらエキサイトして、ひんやりマットをケリケリしている。


ぐるぐる巻きになってしまった。ご機嫌だ。


おもちゃで遊ぶことを覚えた。
ダイちゃんのお気に入りは、ブルーベリー型のボール。


「あっ」という顔。


「これは、じぶんの」と言いたげな顔。


ダイちゃんが子ども心を取り戻してゆく。
表情がどんどん豊かになってゆく。
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