第12話 猫過積載船ダイタニック

文字数 869文字

子猫たちは着実に成長している。
おとなと同じカリカリを食べ、ひとりで猫玄関をくぐり、きちんと猫トイレを使ってくれる。
トイレの使い方は誰が教えたのだろう。不思議だな。





子猫は七匹。大所帯なのでおとな猫たちはクタクタだ。
すでに飽和状態、過積載。『ダイタニック号』という名称をいただいた。
命名者はここ、NOVELDAYSで「アラハバキ解」を執筆中の開物発事さんだ。
よたよたと大海を漂うダイタニック。これ以上乗員は増えないで欲しい。



ダイちゃんも子育てに参加している。
そして、成長している。
ブラッシングしてやると、お返しに舐めてくれるようになった。
これは女のコたちから学んだのだろう。



* * *

子猫たちを怖がらせないよう、室内では足音を忍ばせてこそこそ移動する。
カリカリのお皿はきちんと洗って清潔に。
いつもきれいな水が飲めるように、こまめに器の水を入れ替えて。
足跡のついた廊下をせっせと拭く。

ふと気づくと、物陰から子猫がこちらを見ている。
少しは私の存在に慣れてくれたかな。



たぶん、今が一番可愛い時期だ。
早くなんとかしてあげなくては。

* * *

子猫の里親を探すなら、その前に病院で診てもらった方が良い。
ダイちゃんは大人しく洗濯ネットに入ってくれたけれど、そんな猫は少数派だ。
子猫がやって来てから1週間後、私はホームセンターでキャリーを購入した。
その帰り道に、行きつけの獣医さんに立ち寄った。

子猫たちの写真を見た獣医さんは断言した。

「一ヶ月を、超えています」

もっと小さいと思っていた。いや、思い込もうとしていた。

「急がないと、次のコができるよ」

女医さんが心配そうな顔をする。
猫の発情期は、年に4回訪れるという。
この子猫たちの大きさからすると、母猫たちはもう次の子を妊娠できるらしい。
ウチが『子育てによい場所である』と判断されたら……。いや確実に判断されているのだが。

「どんどん増えるよ」

一番の急務は、母猫たちの不妊手術だった。


ブチさんの右手が腫れているのに気づく。蜂に刺されたのかな。
これも何とかしてやりたいけれど、触らせてくれないのでどうしようもない。
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