第18話 この事務所を信用できねえ!
文字数 480文字
正志がとりなす。
「いえ、社長、俺たちけっして仲が悪いわけじゃなく、仕事に真剣すぎるからちょっと熱くなってるだけで。これって一時的なことですよ」
「一時的!? 違うだろ! ずっとあんたらは序列だけを意識して年齢と少しばかりの経験の違いで俺たちを押さえつけてきた」
社長の前ということもあり慎之介は治らなかった。
「自分の方が知ってるぞって。俺たちが何かを言っても、『それは違う』で自分の考えだけが正しいって人の意見なんてこれっぽっちも聞こうともしない」
「そんなことないだろ」
正志は社長の顔を気にしている。
「いや、あんたたちはそうだった」
「落ち着けよ、慎之介。あとで俺たちだけで話そうぜ」
「あんたに話すことなんてない。リーダーぶるな! あんたなんて人をまとめる資質なんてまったくないんだから」
興奮する慎之介を飯倉が止める。
「もうよせ、慎之介! 社長も副社長もおまえたちを心配してこの場を設けてくださってるんだ! 仲間の悪口は控えろ!」
「悪口なんかじゃねえよ! 俺は事実を言ってんだ! 飯倉さん、あなたまでそんなこと言うんだな。もう俺、この事務所を信用できねえ!」