35、リチャード2世(3)
文字数 949文字
リチャード2世の最初の王妃アン・オブ・ボヘミアは神聖ローマ皇帝でボヘミア王カール4世の娘である。ボヘミア王家は私たちリニー家と親戚関係にある。
「1382年、15歳のリチャード2世はアン・オブ・ボヘミアと結婚したわ。ワット・タイラーの乱があった翌年で、リチャード2世が親政を始めた頃なの。教会大分裂でイングランドをローマ教皇庁支持にしたい教皇ウルバヌス6世とアンの異母兄ヴェンツェルの意向が働いたようなの」
「リチャード2世の結婚にも教会大分裂が関係していたのか。僕は対立教皇クレメンス7世から叙階されてメス司教になり、枢機卿にも任命されたからウルバヌス6世とは対立する立場にいた」
「アンの異母兄ヴェンツェルは私たちの親戚だけど、カール4世に比べてかなり評判の悪い人で、怠慢王なんて言われていたの。それでも自分が神聖ローマ皇帝として戴冠するためにイングランドを味方にしたいから異母妹のアンをリチャード2世と結婚させたのよ」
「かなり強引な政略結婚だね」
「アンは贅沢をしてイングランド人にはあまり評判はよくなかったけど、それでもリチャード2世はアンを気に入り、2人はとても仲がよかった。そしてアンがボヘミア語の聖書を持っていたことにイングランドの学者ウィクリフが感激し、ウィクリフの思想がボヘミアのヤン・フスにも影響を与えているわ」
「リチャード2世とアンの結婚は歴史の流れを大きく変えているね。それにもし、アンとの間に後継者となる子が生まれていたら、リチャード2世の人生は全く違っていたかもしれない」
「でも2人の間に子は生まれなくて、アンはペストのために1394年に亡くなっているわ。アンの死を悲しんだリチャード2世は2人で過ごしたシーン離宮の破壊を命じたくらいなの」
「政略結婚でありながらも2人は本当に仲が良く、そしてアンは学者に影響を与えるほどの才能と信仰心があってリチャード2世を支えていた。それなのにアンは子を残さずに病気で亡くなり、リチャード2世の運命、そしてフランスの運命も変わってしまった」
「そうなのよ。そして次の王妃、イザベラ・オブ・ヴァロワとの結婚にはワレラン兄さんが活躍している」
「そうだった。ジャンヌ姉さんはそのことを昔話してくれたよね」
「でも2人の結婚は悲劇に終わってしまったわ」
「1382年、15歳のリチャード2世はアン・オブ・ボヘミアと結婚したわ。ワット・タイラーの乱があった翌年で、リチャード2世が親政を始めた頃なの。教会大分裂でイングランドをローマ教皇庁支持にしたい教皇ウルバヌス6世とアンの異母兄ヴェンツェルの意向が働いたようなの」
「リチャード2世の結婚にも教会大分裂が関係していたのか。僕は対立教皇クレメンス7世から叙階されてメス司教になり、枢機卿にも任命されたからウルバヌス6世とは対立する立場にいた」
「アンの異母兄ヴェンツェルは私たちの親戚だけど、カール4世に比べてかなり評判の悪い人で、怠慢王なんて言われていたの。それでも自分が神聖ローマ皇帝として戴冠するためにイングランドを味方にしたいから異母妹のアンをリチャード2世と結婚させたのよ」
「かなり強引な政略結婚だね」
「アンは贅沢をしてイングランド人にはあまり評判はよくなかったけど、それでもリチャード2世はアンを気に入り、2人はとても仲がよかった。そしてアンがボヘミア語の聖書を持っていたことにイングランドの学者ウィクリフが感激し、ウィクリフの思想がボヘミアのヤン・フスにも影響を与えているわ」
「リチャード2世とアンの結婚は歴史の流れを大きく変えているね。それにもし、アンとの間に後継者となる子が生まれていたら、リチャード2世の人生は全く違っていたかもしれない」
「でも2人の間に子は生まれなくて、アンはペストのために1394年に亡くなっているわ。アンの死を悲しんだリチャード2世は2人で過ごしたシーン離宮の破壊を命じたくらいなの」
「政略結婚でありながらも2人は本当に仲が良く、そしてアンは学者に影響を与えるほどの才能と信仰心があってリチャード2世を支えていた。それなのにアンは子を残さずに病気で亡くなり、リチャード2世の運命、そしてフランスの運命も変わってしまった」
「そうなのよ。そして次の王妃、イザベラ・オブ・ヴァロワとの結婚にはワレラン兄さんが活躍している」
「そうだった。ジャンヌ姉さんはそのことを昔話してくれたよね」
「でも2人の結婚は悲劇に終わってしまったわ」