第21話

文字数 434文字

 亀と別れ、又郎は自宅へ向かいました。
 しかし、その場所は更地になっていました。
 道を間違えたと思い、又郎は心当たりをあちこち回りましたが、実家はおろか、知っている人にすら会うことは叶いませんでした。
 ただ一人の知り合いもなく、又郎は孤独を感じるようになりました。
 失意の中、玉手箱を手にします。
 乙姫との約束を忘れたわけではありませんが、開けるなと言われると、開けたくなるのが人の性(さが)というもの。
 ついに玉手箱を開けてしまいました。
 何ということでしょう。
 中から白い煙がもくもくと上がり、気が付くとしわくちゃのおじいさんになっていました。
 その様子を岩場の影から亀がこっそりと覗いていました。
 すぐさま竜宮城へと戻った亀は、その事実を乙姫に伝えます。
「そう、やっぱり玉手箱を開けたのですね。これでわたくしの掛け金は二倍ですわ」
 果たして又郎は、約束をやぶり、玉手箱を開けるのかというギャンブルのために、乙姫は玉手箱を渡していましたとさ。
 めでたし、めでたし。
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