第11話

文字数 352文字

「お、おい。海に潜るなんて聞いてないぞ」
「大丈夫です。私を信じてください」
 完全に海に潜ったにも関わらず、又郎はまったく息が苦しくありませんでした。
「本当だ。ちゃんと息ができる」不思議に思いながらも、又郎は海中の景色を堪能しました。
「もう少しで着きますから」
 そういうと、亀はどんどん下に潜っていきます。
 潜るに従い、あれだけ透明で美しかった景色も、徐々に明るさを失せ、とうとう視界が真っ暗になってしまいました。
「さあ、到着しましたよ。ここが竜宮城です」
 といわれたところで、眼前は真っ暗闇。中に入るどころか、亀から降りるのが精いっぱいでした。
「私のあとについてきてください」
 そう言われたところで、視界は全くゼロでした。又郎はすぐに迷子になり、永遠に海底をさまよい続けましたとさ。
 めでたし、めでたし。
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