第22話

文字数 363文字

 ただ一人の知り合いもなく、又郎は孤独を感じるようになりました。
 失意の中、玉手箱を手にします。
 約束を忘れたわけではありませんが、開けるなと言われると、開けたくなるのが人の性というもの。
「いやいや、やっぱりいかん」
 すんでのところで思いとどまり、又郎は玉手箱を抱えて、歩き出しました。
 向かう先は一山越えた城下町。
 又郎はそこで質屋をみつけてのれんをくぐりました。
「これだけ上等な箱、見たことないだろう?」
 玉手箱を主人に渡し、鑑定してもらいます。
「確かに立派だが、中身を見てみない事には、値がつけられませんぜ」
 質屋の言うことはもっともです。
「仕方がない。その代わり、もし良品だったら色を付けてくれよ」
「わかってますって」
 その後、質屋を出ていく二人の老人がいましたが、誰も相手にしませんでしたとさ。
 めでたし、めでたし。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み