第15話
文字数 508文字
久しぶりの酒に気をよくした又郎は、乙姫の隣に身を寄せると、酔いに任せて耳元でこうつぶやきます。
「あなたさえよければ、僕の妻になってもらえないでしょうか?」
「えっ……」乙姫は絶句しました。
心情を察した又郎は、すぐに詫びを入れます。
「失礼、身分をわきまえず、礼儀を欠きました。お許しください」
しかし、乙姫の反応は意外なものでした。
「わたくしでよろしければ、よろしくお願いします」
「えっ……」今度は又郎が絶句する番です。
宴会がお開きになると、二人は初めての夜を迎えました。
お風呂で身を清めた又郎は、姫の待つ布団に潜り込みます。
しかし、緊張とお酒のせいか、又郎はすぐに眠りに落ちてしまいました。
翌朝、寝ぼけ眼の又郎は、隣で眠る乙姫を手繰り寄せ、そっと口づけをします。
しばらくして乙姫が目を覚ますと、一緒にいるはずの又郎の姿が見えません。
召使のタツノオトシゴを呼び寄せ、又郎の所在を訊ねました。
話によると、一刻ほど前に、蒼白い顔をした又郎は、悲鳴を上げながら逃げるように地上へ戻ったというではありませんか。
ため息をつきながら洗面台に向かい、乙姫は日課であるひげ剃りを始めましたとさ。
めでたし、めでたし。
「あなたさえよければ、僕の妻になってもらえないでしょうか?」
「えっ……」乙姫は絶句しました。
心情を察した又郎は、すぐに詫びを入れます。
「失礼、身分をわきまえず、礼儀を欠きました。お許しください」
しかし、乙姫の反応は意外なものでした。
「わたくしでよろしければ、よろしくお願いします」
「えっ……」今度は又郎が絶句する番です。
宴会がお開きになると、二人は初めての夜を迎えました。
お風呂で身を清めた又郎は、姫の待つ布団に潜り込みます。
しかし、緊張とお酒のせいか、又郎はすぐに眠りに落ちてしまいました。
翌朝、寝ぼけ眼の又郎は、隣で眠る乙姫を手繰り寄せ、そっと口づけをします。
しばらくして乙姫が目を覚ますと、一緒にいるはずの又郎の姿が見えません。
召使のタツノオトシゴを呼び寄せ、又郎の所在を訊ねました。
話によると、一刻ほど前に、蒼白い顔をした又郎は、悲鳴を上げながら逃げるように地上へ戻ったというではありませんか。
ため息をつきながら洗面台に向かい、乙姫は日課であるひげ剃りを始めましたとさ。
めでたし、めでたし。