第19話

文字数 280文字

「これは?」
「玉手箱といいます。いいですか、地上に戻っても、決してふたを開けてはなりません」
「なぜです?」
 当然の疑問です。
「えっ?」なぜそんな質問をするのか分からないと言った感じで、乙姫は目を丸くします。
「なぜ開けてはならない物を下さるんです。意味が分かりません。ちゃんと説明してください」
「それは……」
 言えない事情があるのでしょう。乙姫は口をもぐもぐさせ、明らかに言い淀んでいるようです。
「説明できないのであれば、受け取ることはできません。お返しします」
 玉手箱を乙姫につき返すと、又郎は亀にまたがり、竜宮城を去っていきましたとさ。
 めでたし、めでたし。
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